タカタは米国に嵌められた?

21 7月 2017

エアバッグ製造ではほとんど世界的独占企業のような日本企業、タカタが倒産しました(2017年6月26日東京地裁に民事再生法を申請)。負債総額1兆7千億円というのは、戦後最悪です。東芝が7千億円の特別損失ですったもんだしているのにです。そしてこの1兆7千億円の全てはアメリカでのリコール対応費です。

タカタのエアバック問題の不可解さ

2013年4月に、タカタが取引先の各自動車メーカーにエアバックの不具合を通知しました。ガス発生剤の加圧力不足と、高湿度により、エアバック作動時に構成材の金属片が飛び散る恐れがある、という内容でした(タカタのメキシコ工場?で火薬の湿度管理ミスと当初考えられていました)。

これは、アメリカの駐車場でホンダのクルマに乗った女子学生が衝突事故を起こし、エアバッグ展張の際、構成材の破片が頸動脈にあたって死亡した事故がきっかけになったものです。タカタでは製造段階でのミスと認定しました。これを受けてタカタのエアバックを使用している各自動車メーカーはリコールを届け出たのです。

このタカタの自発的なリコール以降、不可解なことに、タカタのエアバッグが展張の際、異常爆発して死者が出る事態が頻発しました(アメリカ側の見解による)。

これらの事故の大半は、交通事故時のものでした。だから、自動車の衝突が原因なのか、エアバックの以上爆発が原因なのかは、なかなか判別ができないのです。死因の原因がエアバッグの破片によるものと明確に判定されたケースはほとんどありません(少しはあったのかもしれませんが恐らく0ゼロです)。司法解剖してタカタのエアバッグが原因であると明確に死因を特定したケースは恐らくないと思います。

日本では明確にタカタのエアバッグが原因で怪我を負ったケースが2017年7月までに2件発生しています。

タカタのエアバックは、アメリカの運輸当局が求める性能基準は満たしており、アメリカの運輸当局も、これを覆す証拠は見つけていません。

にもかかわらず、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、タカタに2014年6月以降、タカタに対し、全米でのリコールに応じるよう求めました。

しかし、タカタは「欠陥が科学的に立証されておらず、異常爆発事故も高温多湿地域に限られる」としてリコールを拒否し続けてきました。

アメリカでの事故車の多くが、かなり古い車であり、しかも高温多湿地域が多かったのです。なので、タカタは原因を「経年劣化」だと判断していました。

現在、エアバックには使用年数などの規定がありません。だから、古くなったものをチェックしたり交換したりする制度が、どこの国もないのです。

しかし、アメリカの高速道路交通安全局(NHTSA)はタカタに対し、執拗にリコールを要求し、対象車種は雪だるま式に増えていきました。

この話は、フォードブレイザーの話に似ています。フォードブレイザーは、腰高なSUV車で横転事故による死亡事故が問題となりました。クルマ自体の欠陥ですが、フォードはこれをNHTSAと結託して日本製のファイアストン(ブリジストンの米国子会社)のタイアのせいにしました。今回も科学的な因果関係が立証されていないのに一方的にタカタにリコールを要求するという理不尽極まりない対応です。

この問題が巨大化、長期化するに従い、各自動車メーカーは、タカタ離れを検討するようになり、タカタは問題解決のために、ついに2015年5月、全米3400万台のリコールに踏み切ります。

そして、2015年11月には、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)とタカタは、同意指令に合意しました。同意指令の内容は、「エアバックを爆発させる火薬に、今後、硝酸アンモニウムは使用しない」というものでした。

消散アンモニウムは湿気に弱くすぐ品質変化してしまいかつ、経年変化による異常爆発が起きやすいという指摘はありました。そしてエアバッグ大手では唯一タカタだけが使用しています。

つまり、硝酸アンモニウムを使わないということは、硝酸アンモニウムを使ったタカ他製品に欠陥があったということになります。NHTSAの思惑通りになりました。トヨタ、ホンダなどの日本メーカーからの大きな圧力もあったでしょう。

画像出典:Wikipedia

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