ペダル踏み間違いの寄与原因 AT(自動変速機)について

22 8月 2017

自動変速機とは読んで字の如く自動で自動車ギアの変速を行うことができる装置です。

自動化装置

もともと自動化装置は、「人間」のワークロード(作業量)を減らすことを目的に作られてきました。自動化装置を導入すれば、人間が楽になるばかりではなく人間の注意力を「安全」サイドに振り向けることができるため、良いことづくめだった筈です。

画像出典:Wikipedia 右:「自動化」について、フランスの小咄をひとつ。将来の飛行機操縦室の乗員はパイロットと犬一匹になる。そのこころは、「パイロット(人間)が操縦装置に触ろうとしたら犬が噛みつく」でした。フランスでは、自動化装置には人間が触ってはならないが、装置設計の大原則のようです。しかし、2017年現在、機械って100%完全じゃないですよね。AI(人工知能 アーティフィシャル・インテリジェンス)が搭載されれば、人間のバックアップはいらなくなりますが・・・・。

 

1970年代は、MT車とAT車の混在

ところがわが国でもアメリカでもAT車が出た時には、MT車と混在しており、MT車の方が絶対数で多かったのです。そのためAT車を購入した人は、度々MT車も運転しなければならなかったのです。

AT車もMT車も交互に運転しなければならないときに、運転操作上の不都合が発生しました。

それは、MT車からAT車に乗り換えた時に発生します。MT車でのギアチェンジのタイミングのとき左足で無意識にブレーキペダルを踏んでしまうのです。しかもクラッチペダルを踏むようにブレーキを踏んでしまうので、瞬間、急ブレーキとなります。しかも何回もやります! これは結構危ないです。

ともあれ、MT車とAT車の混在が現在の2ペダル配置となった原因です。つまりMT車のペダル配置のまま単純にクラッチペダルをなくしてしまった訳です。

しかし、1970年代から2017年まで「ペダル踏み間違い(踏み換え忘れ)事故」が毎年約7000件発生し続けています。これはこのペダル配置とアクセルブレーキを踏み換えて操作することから発生します。

クラッチの意味 Clutch

本来、クラッチの意味は、「杖」です。つまり足が悪い人の歩行用の補助器具です。

つまりガソリンエンジンは、回転数が低い時は、力(トルク)がないのです。かといって高回転でクラッチを繋げばクラッチが持ちません。言葉を変えて言えばクラッチ板を滑らせて(ごまかして)徐々にエンジンと変速機を機械的に繋いでいったのです。もし、意識的にエンジン高回転でクラッチを繋げば、タイアは白煙を濛々とあげて(アメリカでは流行しているそうですが!?)、クルマは動きません。

要するに「クラッチ」は、エンジンと変速機をつなぐ「杖」です。そしてAT車はこのクラッチの代わりにトルクコンバーター(流体継ぎ手)があり、エンジンと変速機は常時繋がっているのです。そのため、車体が停止中にブレーキまたはパーキングブレーキを離せば、動き始めます。クリープ現象といいます。

画像出典:Wikipedia

自動変速機の種類(大別4種類)

◆<ステップAT>

古くから使われているのがステップATと呼ばれるもので、エンジンとトランスミッションをつなぐ部分にトルクコンバーターという流体によって力を伝達する装置を使います(流体継ぎ手)。トルクコンバーター自体にも変速作用があり、1970年代にはホンダが、トルクコンバーター自体が有する変速機能を利用して部分的な無段変速機能を実装した「スターレンジ(無段階変速)を持つホンダマチック」を生み出しています。また、ホンダのステップATは長らく平行軸式といってMT(マニュアルトランスミッション)と同じような変速方式で、ギア段ごとに独立したギアセットを持つ歯車となっていました。それ以外のほとんどのメーカーは、遊星歯車機構(プラネタリーギア)を複数組み合わせることで変速段を生み出しています。(記事WEB CARTOPから抜粋投稿日: 2016年5月5日 TEXT: 山本晋也

動画出典:youtube CARTOP

◆<CVT>

国産車を中心に増えてきたのが、CVT(連続可変トランスミッション、無段ギア Continuously Variable Transmission)です。2017年現在ではほとんどの国産AT車に装備されています。基本的な構造は、向かい合った2つの可変プーリーをベルトやチェーンでつなぎ、エンジンの力を受ける側とタイヤに伝える側のプーリーの幅を変えることで、変速比を無段階に連続可変します。ただし、その構造から変速比を変えていくときには、ベルトとプーリーが滑っている必要があり、伝達効率では他のトランスミッションに対して劣ってしまいます。滑っている訳ですから。また、変速比を大きくとるにはプーリー径を大きくする必要があり、変速比幅を広げるのが難しいということもあります。一方で、滑っているがゆえにシフトショックがなくスムースな走りが可能になることや、とくに小排気量エンジンの力の伝達という意味からは効率的な範囲が狭いエンジンにおいて、高効率な変速を可能にしやすいというメリットがあります。エンジンの動力を伝達するクラッチ部分にはステップAT同様、トルクコンバーター(流体継ぎ手ー トルコンオイル)が使われています。(記事WEB CARTOPから抜粋投稿日: 2016年5月5日 TEXT: 山本晋也

画像出典:Wikipedia WEB CARTOP ホンダのCVTカットモデル

◆<DCT>

DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)は、エンジンからの動力伝達装置に2組の摩擦クラッチ(MT車で使用している通常のクラッチ)を使い、トランスミッション内は奇数(1・3・5・7)・偶数(2・4・6・8)それぞれに独立したギアセットを持っているのが特徴です。摩擦クラッチによって、奇数弾と偶数段のどちらにつなぐかをコントロールするため、あらかじめギアはつないでおいた状態にでき、変速スピードが速いというメリットがあります。欠点としてはトルクコンバーターが持つクリープ現象がないため微低速での移動時にスムースを欠くという欠点?もあります。また、このギアセットの構造からMTの中身と構造が同じという誤解も招いていますが、奇数・偶数のギアセットごとに独立した軸を持っているため、同じではありません。したがってMT車にデュアルクラッチをつけたからといってDCTにはなりません。(記事WEB CARTOPから抜粋投稿日: 2016年5月5日 TEXT: 山本晋也

画像出典:Wikipedia WEB CARTOP 画像はフォルクスワーゲンのDCT

◆<AMT/RMT>

MT車の変速機構造そのままに、ギアシフトとクラッチ操作をアクチュエーターなどの機械任せにした2ペダルはAMT(オートマチック・マニュアル・トランスミッション)、RMT(ロボタイズド・マニュアル・トランスミッション)などと呼ばれています。構造的に大変シンプルかつ軽量であり、伝達効率に優れていることから、小型車から大型トラックまで幅広く使われている技術であり、長い歴史があります。(記事WEB CARTOPから抜粋投稿日: 2016年5月5日 TEXT: 山本晋也

画像出典:Wikipedia スズキのAGS

各種ATの短所・長所比較

こうして複数の方式が使われているのは、それぞれに利点がるからです。あくまで、現時点での技術レベルとATに求められる機能で順位付けをすると次のようなイメージになります。

●<伝達効率>:AMT≒DCT>ステップAT>CVT

●<変速スピード>:DCT>AMT≒ステップAT
※CVTにもマニュアルモードはありますが、基本的には変速スピードを競うものではありません。

●<ショックの少なさ>:CVT>ステップAT>DCT>AMT

●<変速比幅の広さ>:ステップAT>DCT>CVT>AMT

●<本体の軽さ>:AMT>ステップAT>CVT>DCT

このランキングにおけるAMTの位置づけは、ほぼMTに通じるが、それを含めても一長一短。そして、現在のトランスミッションには、ドライバビリティと燃費性能の両立が求められる。そのため、変速比幅(ローとハイのギア比の幅)を広く、また細かく区切る(多段化)ようになっている。さらに車両重量を軽くするためのユニット軽量化や、トランスミッションの基本となる伝達効率の高さなども重要だ。

つまり、トランスミッションには様々な構造がありますが、いずれも目指しているところは同じです。アプローチとして、車格や価格に応じた判断がなされているというわけです。さらに、副変速機ギアを持つCVTやDCTにトルクコンバーターを内蔵したシステムが登場してきています。(記事WEB CARTOPから抜粋、投稿日: 2016年5月5日 TEXT: 山本晋也

 

コメントする

お名前・メールアドレス・コメントは必須です。
メールアドレスは公開されません。

トラックバックURL