テスラモデルX

09 10月 2016

本欄でも度々取り上げている米国シリコンバレーに本拠地を置くテスラモーターは、従業員数250人+(ウィキペデイア調べ)2003年設立のベンチャー企業です。テスラモデルSでは、2016年5月ペンシルバニア州で発生した自動運転(レベル2)での死亡事故で、何故ミリ波レーダーが作動しなかったのか大きな疑問となっています。また、このテスラにモデルXという大流行のSUVが発売され反響を呼んでいます。自動車メーカーとしてたかだか13年(2016年現在)の歴史しかない企業があちらこちらからヘッドハンティングをして人材を駆り集めて作った自動車です。外見は堂々たるものですが、何とかの厚化粧。奇を衒ったものばかりです。そして、このクルマは自動車というより走るスマホです。人を乗せて走るレベルに達していないような気がします。その割には、電気自動車の特性であるピークトルクが一瞬で達成できる特質を使って0→ 100km/h までの加速があのニッサンGTRやフェラーリを凌ぐ2.7秒を達成しています。自分でレディキュラス(馬鹿げた)クラス(P90D)と呼んでいるだけあって自覚はあるのですね。一番下の河口まなぶさんの箱根試乗記に出てくるモデルXは1600万円(!)だそうです。1600万円のスマホ。

自動車評論家によるその最近の試乗記(2016年9月)が下記です。

「Tesla Model X P90D」(90kWh Performance All-Wheel Drive Model X) 主要諸元

全長x全幅x全高:5037x2070x1680(ドア開:2200)mm/ホイールベース:2965mm/車両重量:2468kg/CD値(ドラッグ係数):0.24/モーター出力:(フロント)262ps(リア)510ps/システム出力:470ps/モータートルク:830Nm/航続可能距離:467km[NEDC推定]/0-100km/h加速:3.9秒/メーカー希望小売価格:13,810,000円[消費税込] <3列シート7人乗り>

[※スペックは2016年9月現在](システムアップデート等により随時一部変更の場合あり)

テスラからお金を貰ってこの試乗を行っているでしょうから、特記することはありません。ただ例のオートパイロットの高速での使い勝手について書いているので転載します。以下:

高速道路ではオートパイロット(運転支援)機能も試してみました。車間や速度をセットし前車との追従走行やオートクルーズも可能ですが、さらにウインカーレバーの操作での車線変更も可能(大野註:これは日本では認可されていないはずです。)となっています。

車線変更はときどき自分の感覚と少々タイミングや角度にズレが生じることがありますが(大野註:当たり前です。それが自動運転というものです)、交通量の少ない道路で、かつ長距離ドライブするときなどには疲労軽減(大野註:運転者が自動運転のモニターをしながら、ウインカー操作で車線変更をしてくれることが本当に疲労軽減になるでしょうか?)を助けてくれる装備の一つと言えそうです。

フロントウインドウ上部のカメラとボディ前後に6つの超音波センサー、それにフロントのナンバー裏下側にレーダーが備わります。(大野註:これが問題のレーダーです。レーダーという限りは何らかの電波を前方に発射して反射波を拾う構造になっているはずです。ペンシルバニアの事故では何故これが作動しなかったのでしょうか?)このハードウエアは全モデルに標準装備され、安全機能のほか有料オプションの便利機能などにも活用されます。

テスラは通信機能によって装備の追加や走行性能に係る機能も含め、システムのアップデートが可能です。進化する性能をアップデートする(大野註:これって完全にパソコンの発想です。自動駐車装置SUMMONで電波をハッキングされた映像があります。走行中にこれをやられたら大事故になります。記事は本トピックス欄2016年9月26日テスラSUMMONについて)ことで、常に最新の状態が保てるのも他にない特長です。

飯田裕子

筆者プロフィール: 飯田裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。

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      テスラモデルX箱根試乗中の飯田さん 出典:テスラモーターズ

下の動画 出典:youtube,テスラモーターズ

さて、今度は米国のコンシューマーリポート 消費者の評価

テスラの野望に暗雲?「モデルX」に不具合続出で上がる懐疑の声 FCVとの競争のゆくえは

米電気自動車ベンチャー、テスラ・モーターズの最新高級SUV『モデルX』の評判が芳しくありません。アメリカの消費者から絶大な信頼を得ている製品レビュー誌「コンシューマー・レポート」が、『モデルX』自慢のガルウィングドアの不具合を始めとする数々の技術的な欠陥を指摘しています。これを受けてテスラ社の株価が下落する事態となっています。みなさんどうですか?こんな装備欲しいですか?前のドアが普通の開閉方式なのに後ろのドアだけガルウイング方式でしかも自動で開閉?何か意味がありますか?

◆「大金をはたいたのに…」
 指摘されている最大のトラブルは、特徴的な自動開閉式の「ガルウィングドア」の不具合です。同車は、かつてのスーパーカーやコンセプトカーに見られるハッチのように上方に開くガルウィング方式を、市販車としては類のない自動ドアシステムの一部として、後部ドアに採用しています。しかし、これが開閉しなくなったり、異物を検知するセンサーが働かずに強引に閉まってドアに傷がついたり歪んだりする事例が報告されています。コンシューマー・レポートでは「”ファルコンウィング(ガルウィング)”の後部ドアが閉まらなくなると、今度は異音だけを残して開かなくなりました。運転席のドアも中からしか開かなくなりました。さらには運転席の窓も、動きを妨げている縁取りパーツを外さなければちゃんと開きません」と、ドア周りの惨状を報告しています。

座席を固定するラッチが衝撃で外れやすいという問題も発覚しています。これについてはリコールが始まっています(ウォール ストリート ジャーナル紙)。さらに、「自動運転モードの際、車線が途切れると制御が混乱」「フロントガラスの曲線的なデザインにより、ヘッドライトやテールランプ、街灯の光が二重に見える」「塗装の不具合」「頻繁に結露する中央ダッシュスクリーン」「不十分な暖房機能」といったトラブルが指摘されています。これらはいずれも、自動車メーカーとしての十分な技術的蓄積がないベンチャー企業ゆえの問題だと見る向きが多いようです。フォーブス誌は、「自動車業界のベテランたちは、実際に問題のいくつかを予測していました」とし、その一例として「業界の誰もがうまく機能しないと言ってきた自動ガルウィングのせいで、モデルXは量産不能だと思われます」という、元GM副会長のボブ・ルッツ氏が昨秋(2914年)テレビで語ったコメントを紹介しています。(以上米国コンシューマーリポートより抜粋)

テスラモデルX箱根試乗 出典:youtube テスラモーターズ

自動車ジャーナリスト 河口まなぶさんがテスラモデルXで箱根ターンパイクを走る。

 

動画出典:youtube テスラモーター 自動車評論家 河口学氏

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