サンタモニカ農産物市場 踏み間違い事故 運転者のこと

03 2月 2022

2003年7月16日、米国カリフォルニア州サンタモニカ路上農産物市場で発生した踏み間違い事故では、10人死亡70人が重軽傷を負った事故でした。運転者はクルマを使用した故殺(殺人罪)の罪で裁かれ禁固18年でした。

2016年8月10日千葉県市川市事故を受けて、そっくりな事故(米国カリフォルニア州 サンタモニカ)

故殺:アメリカでは、殺人罪は大きく「謀殺」と「故殺」に分けられています。ざっくりいえば、「謀殺」は保険金殺人などの計画的犯行で、「故殺」はそれ以外の殺人。ただし、「故殺」はさらに「故意故殺」と「非故意故殺」に分類され、「非故意故殺」は「合理的一般人が同一の状況で払うであろう注意の標準からの著しい逸脱」を伴って人を殺害する場合と説明されています。おそらく、日本の刑法上は殺人ではなく過失致死として扱われる類型です。

以上、九州合同法律事務所 弁護士 小林 洋二氏のHPから

とすると、この事故の場合は、「非故意故殺」であり、「合理的一般人が同一の状況で払うであろう注意の標準からの著しい逸脱=過失」があったということです。

運転者の名前は、George Russell Weller ジョージ・ラッセル・ウエラ―。事故発生当時は86歳でした。

農産物路上マーケットに踏み間違いによる暴走で突っ込み、次々に通行人を跳ねて10人死亡、70人重軽傷を負わせてしまった事故です。

事故後の司法検査では、アルコールや薬物は一切検出されず、関節炎薬の副作用による吐き気をおぼえることがあったとのこと。その他人工股関節を入れていたとのことです。

ジョージ・ウエラーさんは、2003年7月16日サンタモニカ路上の農産物市場で踏み間違い事故を起こしてから:

➀2003年7月24日には、免許の取り消しをされました。

➁2004年1月5日には、ロスアンゼルス郡検事局は、ウエラー氏に禁固18年を求刑しました。

➂2004年1月6日には、上級裁判所判事の下、無罪主張の上保釈金を積んで釈放されました。

④2004年1月14日には、事故犠牲者の遺族が中心になってサンタモニカ市と農産物マーケット       主催者を相手取り訴訟を起こす。

⑤2004年11月3日には、ウエラー氏出席の下で公聴会を開催することに決定。公聴会は、11月17日に開催決定。

⑥2005年3月18日には、ロスアンゼルス上級裁判所の判事は、ウエラ―氏弁護人の「故殺による罪」を止めるようにとの要請に対し、踏み間違いは明白に「negligence 予見可能性を認めた上で過失を防止することを[怠った]」と述べ、却下した。

⑦2006年10月20日には、ウエラー氏の裁判陪審員全員が全ての罪で有罪とし、最高18年の禁固刑が確定した。

⑧2006年11月20日には、ウエラー氏の病状があまりに重いので、収監せずに監視付の自宅療養することを決定した。

⑨2008年5月22日には、サンタモニカ市が多数の訴訟に対して2100万ドルの和解金を支払うことを決定。ウエラ―氏は91歳で24時間の看護体制が必要な状態となっていた。

⑩2010年12月9日にウエラ―氏死去。94歳。

86歳で事故を起こし、8年後94歳で亡くなったわけですが、池袋踏み間違い事故の飯塚幸三受刑者のことが思い出されます。2021年10月26日に交通刑務所に収監され、5年の禁錮刑ででした。釈放されるのは2026年の10月26日となります。96歳です。

 

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