池袋ペダル踏み間違い事故を考えるー誰に責任があるのか?

25 4月 2019

死者2人、重軽傷者8人を出した池袋ペダル踏み間違い事故。遺族の会見を聞くと胸が張り裂けそうな気分になります。

どの報道をみても事故の原因があたかも高齢者にあるような書きぶりです。この遺族の方も、高齢者には運転させないようにという論調で会見されていました。ホントですか? ペダル踏み間違いによる事故は、ホントに高齢が原因ですか?

みなさん、ペダル踏み間違い事故は高齢と何ら関係ありません。実は25歳以下の若年層と75歳以上の高齢者層の事故件数を比較すると、以下わたしの2014年の論文から抜粋させていただきます。

2.3 運転者の年齢とペダル踏み間違い事故率の関連について

ペダル踏み間違いによる事故は、あたかも高齢者層にのみ発生しているような社会通念があるが、財団法人交通事故総合分析センタ¹⁾のペダル踏み間違い事故の年齢別統計によれば、このタイプの事故は全年齢層(25歳以下、26歳から69歳、70歳以上)で発生しており、高年齢層の他、25歳以下の若年齢層でも高い確率で発生している(図2参照)。また、2008年度の統計では、若年齢層の事故件数が高齢者層の事故件数を上回った年度もあるため、高齢者事故率は依然として高いものがあるものの、必ずしも高齢者層に限った事故ではないと考えられる。

参考・財団法人「国際交通安全学会」平成22年度研究調査報告
『平成17〜19年の合計データ』を分析したグラフ

産経新聞WEB版から:

「一瞬で未来奪われた」…池袋暴走、妻子亡くした男性が悲痛会見

踏み間違いのきっかけは様々ありますが、要は、「ブレーキが必要とされるときに誤ってアクセルを踏んでしまう」ことにあります。今回の池袋の事故は、左側のガードポールに接触したことが事故の始まりですが、大多数(92%)の事故は、実になんでもないところから(通常操作)始まっています。

ブレーキを踏む強さでアクセルを踏むと、クルマは急加速します。人間の脳はこの急加速に驚愕するとともに「恐怖」を感じます。「恐怖」は、前頭前野皮質の機能不全を招き、反射運動であるアクセルを踏んだ足をますます突っ張る以外なにもできなくなります。

これが事故にいたるメカニズムです。

さて、これは勿論、運転者の過失ではありますが、果たしてそれだけでしょうか?

「ブレーキを踏もうとしてアクセルを踏んでしまう」ことには、ペダル配置の欠陥があるのではないでしょうか?

 

コメント

  1. ピンバック: 「高齢者ドライバー」 | ペダル踏み間違い事故防止

  2. ピンバック: 踏み間違い事故、本当に悪いのは誰か? | ペダル踏み間違い事故防止

コメントする

お名前・メールアドレス・コメントは必須です。
メールアドレスは公開されません。

トラックバックURL