女子高生2人死傷事故 運転の87歳被告に無罪 を考える

06 3月 2020

このBLOGでも取り上げた事故です。

前橋女子高生死傷ペダル踏み間違い事故 85歳男性を鑑定留置へ 心身に問題か 

この事故です。事故の概要は前の投稿の通りですが、要するに事故発生時には運転者の「認知症」が疑われていました。認知症による踏み間違い事故であると・・・。

で、今度の裁判の結果は(産経新聞記事より):

2020.3.5 14:33

「産経新聞ロゴ」の画像検索結果

前橋市で平成30年1月、乗用車を運転中に事故を起こし、女子高校生2人を死傷させたとして、自動車運転処罰法の過失致死傷罪に問われた無職、川端清勝被告(87)の判決公判が5日、前橋地裁で開かれた。国井恒志裁判長は無罪判決を言い渡した。求刑は禁錮4年6月だった。

国井裁判長は判決理由で、被告が事故前に陥った意識障害について、「薬の副作用で低血圧になった可能性が高い」などと指摘。医師や家族から意識障害に陥る危険性について注意されておらず、被告も医学の専門的知識を持ち合わせていないとして、意識障害による事故の発生について「予見できたか合理的な疑いがある」と述べた。

『判決後、被告側の渡辺雅博弁護士は「非常に複雑で難しい判決だったと思う。同じような悲劇を繰り返さないために今後に生かしてほしい」と記者団に話した。』 ??????

上毛新聞による『意識障害』の詳細は:

◎意識障害「予見できず」と判断

 国井裁判長は遅くとも16年7月以降、被告に低血圧やめまいの症状があったと認めつつ、「めまいの原因が低血圧であることを示す医学的根拠は見当たらない」と指摘。慢性的な低血圧によって意識障害が生じた事実はなく、医師からの指示も生活上の指導にとどまっており、検察側の「医師が意識障害を生じる恐れから運転しないように注意していた」などとする訴えは認められないとした。

 また、今回の事故につながった意識障害については、服用していた排尿障害の薬の副作用による急激な血圧低下が原因となった可能性があると説明。被告が医師から服用により血圧が下がるといった副作用が生じることについて説明を受けた証拠はなく、「意識障害が生じることを予見することはできなかった」と結論付けた。

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意識障害を予見できずに運転して事故を起こしたから『無罪』といっているのに『今後に生かしてほしい』とは?? ちょっと理解できないコメントです。 でもわたしが申し上げたいのは次のことです:

point➀ 事故形態:明らかに中高速速度域からの『ペダル踏み間違い事故』です。しかし、判決では、「国井裁判長は判決理由で、被告が事故前に陥った意識障害について、「薬の副作用で低血圧になった可能性が高い」と述べており、『事故前』とは事故のどのくらい以前を指しているのか明らかではありません。女子高生に衝突することを事故といっているとすれば、ペダルを踏み間違えてから『意識障害』に陥って女子高生と衝突したこととなります。

そしてペダル踏み間違い事故というからにはアクセルペダルを継続して『踏み続けなければなりません』

point➁『意識障害』とはどういうことでしょうか? しかも低血圧によると裁判では述べられています。上毛新聞によれば排尿障害の薬による急激な血圧低下による『意識障害』が発生したためとなっています。

わたしの知る限り、癲癇症状以外で意識障害(失神状態)が発生した場合には、『肉体は弛緩状態』となります。すなわち、体中に力が無く「ダラッとした状態」に陥ります。

すなわち、アクセルを継続して踏み続けることはできません。

とすると、事故形態とは矛盾することとなります。

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再び上毛新聞から:

「無罪とする」。国井恒志裁判長が車いすの被告にこう告げると、傍聴席はしんと静まり返った。その後、30分余りにわたって判決理由が読み上げられる間、遺族らの関係者席にはハンカチで涙をぬぐい続ける女性や、両肩を震わせる男性の姿があった。

 「人を殺して無罪なのか!」。読み上げ後、傍聴席から突然大きな声が上がった。「静かに願います」と制止した国井裁判長は「事故が起きたのは事実。ただ、被告個人の責任であるというのは真相ではない」とし、「同じ悲劇を繰り返さないための無罪判決です」と声を詰まらせながら締めくくった。

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??? 『同じ悲劇をくりかえさないための無罪判決です』???

裁判長は上記のように判決理由を述べました。意識障害に陥ったから事故の過失予見性がなく、運転者は無罪であり、そのことが事故を繰り返さないこととなるという判決について、わたしにはまったく理解不能です。

おそらくこの判決は、遺族によって上訴されると思われます。

 

 

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