「自動車運転過失致死傷罪」について-過失には種類がある!-

03 8月 2016

このTopics欄でもお知らせしました「クルマ社会を問い直す会」にメール投稿ができる場があり、「過失」について刑事罰を科すのは世界中で5か国だけと書いて投稿したら、会員と思いますが大阪の弁護士さんが噛みついてきました。下の段に書きましたが、わたしもこの言い方は少しおかしかったと思います。すなわち、過失には種類があり、予見可能性がない「不可抗力」から発生した過失には罪がないというべきでした。

弁護士さん曰く<文明国だったら「過失」について刑事罰を与えるのは当然だ。「踏み間違えた人間を処罰しなくてよい、処罰するべきではない」との意見に賛成できないのは何故でしょうか?←犯人は,AとBを踏み間違えるなというルールに違反しているからです。踏み間違いをしないようにするためには「自動車を運転しない」との結論になってしまうのではないでしょうか?←踏み間違う可能性のある人は車を運転してはいけないのです。とにかく,例えば,スマートフォンに気を取られて,横断歩道を渡る歩行者を見落として,轢死させた場合,これは過失犯だから,その犯人を処罰しなくてよい,とは,私は,被害者家族に言えません。 この件,大野さんと議論しても結論が出るわけではありませんので,これで終わりとします。大野さんが作られた,べダル踏み間違いが絶対に起きない車が普及することを祈っています。>

弁護士さんというのは流石ですね。うまく事の本質をすり替えています。スマートフォンとペダル踏み間違い事故を過失という一括りで同列にしています。確かにわが国での考え方はこれでいいのだと思います。しかし、過失には種類があるのです。例えば、夏の屋外で赤ちゃんを車中に放置してパチンコなどをし、死に至らしめたようなときです。これはアメリカでも日本でも過失は刑事罰です。

わたしがアメリカの例を挙げたのは、例えば、飼っていたニシキヘビが赤ちゃんを食べてしまったようなときは、過失であっても、赤ちゃんの両親は刑事罰に問われます。しかし、ペダル踏み間違い事故のようなときは、刑事罰には問われませんと説明したのです。その例として7月27日の本欄Topicsで既報のカリフォルニア州サンタモニカのファーマーズマーケットペダル踏み間違い事故の件を出したところ、<なぜ 「ペダル踏み間違い事故によって人を死傷させたという事故がカリフォルニア州サンタモニカで2003年に発生いたしましたが、10人の死者を出し、66人の重軽傷者を出した男性86歳運転者は刑事罰を受けて」いないのか,私にはわかりません。犯人に責任能力がなかったのかもしれません。>との回答を得ました。弁護士さんというのは「ごまかし」が商売ですからお上手です。

ここで書いているうちに論点がハッキリしてきました。

すなわち、「過失」には種類があるということです。本当の意味で「不可抗力」から発生した「過失」と予見性を怠ったことから発生する「過失」を10束ひとからげにしていることです。

「過失」をすべて同列にして論じるのは間違いです。

不可抗力過失と予見可能な過失に分けるべきです。<上記の弁護士さんも「踏み間違う」可能性のある人間はクルマを運転してはいけないのです。>といっています。とするとすべての運転免許保持者は「運転してはいけない」のです。踏み間違う可能性があるわけですから。

わが国では「過失」の種類を問うことなくすべて同列にして扱っていることが問題だと思います。

 

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