ハイブリッド車はエコカーではなくなる!(ただし米国カリフォルニア州で)動画:竹田恒泰氏

03 8月 2017

2017年8月3日、朝のNHKニュースで米国カリフォルニア州の排ガス規制、エコカー認定についてのニュースを見ました。カリフォルニアといえば、純粋電気自動車メーカーテスラ(本社シリコンバレー)の本拠地でもあります。わたしも1980年代にカリフォルニア州ロスアンゼルスに住んでいたことがあるので、ニュースで報道していた片側6車線のフリーウエイは、わたしも毎日通勤していました。この道路の一番左側車線は、昔から優先通行車線で、2017年の今は「エコカー優先車線」となっています。

画像出典:Wikipedia インターステート(州間道路)I-405です。見にくいですが左側の黄色い車線が「エコカー優先車線」です。多分通勤時間帯だけが「優先車線」になっていると思います。

さて、カリフォルニアでいう「エコカー」とはなんでしょうか?

それは、1.電気自動車(EV)2.燃料電池車(FCV)3.プラグインハイブリッド車(PHEV)だそうです。

でも待ってください。本当の意味でエコカーといえるのは2.の燃料電池車だけです。何故か?本ブログでも度々取り上げているところですが:

1.の純粋電気自動車は、家庭用電源からバッテリーの充電を行います。確かに走行するにあたっての排出物はゼロです。しかし、アメリカでも主な発電は火力発電です。ということは家庭用電源を使う電気自動車は、盛大に排出物をまき散らしている電源で走るわけです。

画像出典:Wikipedia アメリカ発 純粋電気自動車 上段左:テスラモデルS 上段右:テスラモデルX 双方とも平均1000万円以上 下段:シボレーボルトEV

3.プラグインハイブリッドといっても、トヨタプリウスプラグインハイブリッドの場合、ガス欠時には電気だけで走行できる68.2km(実質半分の30km以下です。道路事情によっては、20km走らないという人もいます)とカタログには記載しています。家庭用電源からバッテリーに充電できるというだけです。実質、2017年現行の家庭用電気から充電できないハイブリッド車と何ら変わりませんので、区別するのは意味がないと思います。

 

Chevy Volt at a public exhibition, Washington DC Metro Area

画像出典:Wikipedia 上段:シボレーボルトPHEV EV走行時の最大航続距離約64km 下段:トヨタプリウスPHV EV走行時68.2km

2016年、カリフォルニア州の排ガス規制について、下記のような記事を発表した人がいます。以下記事を抜粋して掲載します:

トヨタに逆風カリフォルニア州の排ガス規制/千葉商科大学名誉教授 三橋規宏

企業家倶楽部2016年10月号 緑の地平 vol.32(2016年10月11日)

画像出典:企業家倶楽部2016年10月号より 千葉商科大学名誉教授 三橋規宏氏

ハイブリッド車がエコカーでなくなる日

 日本でエコカーの代名詞になっているトヨタの「プリウス」などのハイブリッド車(HV)が米カリフォルニア州では「18年モデル」から「エコカー」の対象から外されます。ハイブリッド車の販売で世界をリードしてきた日本の自動車メーカーにとってはかなりの逆風で、戦略の練り直しが求められそうです。

 車社会のカリフォルニア州では大気汚染対策として1990年から「排ガスゼロ車」(ZEV = ゼロ・エミッション・ビークル)を目指して本格的な排ガス規制に乗り出しました。当初は排ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質の規制に力を入れてきたがほぼ目標を達成しました。このため、今世紀に入ってからは温暖化ガスのCO2の排出ゼロを達成するための規制を強化しています。CO2排出ゼロを実現するためには走行中にCO2を排出しない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の普及が望ましいところですが、技術的に超えなくてはならない課題が多く短期間には実現できません。

 そこで、カリフォルニア州は過渡的な措置として、相対的にCO2の排出量が少ないハイブリッド車やプラグインハイブリッド車(PHV)、天然ガス車などをクリーンなエコカーとして認定してきました。ところが2012年に規制が大幅に強化されたことを受けて同州では販売台数の大きい自動車メーカーに対し販売台数の14%をエコカーにするよう義務づけました。この段階ではハイブリッド車もエコカーとして認定されていました。ところがこの規制がさらに強化され、来年2017年の秋以降に発売される「18年モデル」からハイブリッド車はエコカーの対象から外されることになりました。同じハイブリッド車でもPHVはモーター(電気)が中心でガソリンは補助的使用に限られるためエコカーとして残ります。さらに「18年モデル」では、エコカー比率がさらに16%へ引き上げられます。

(以下大野の意見です。下線部について:PHEVまたはPHVは、ガソリンエンジンがメインでEV機能はあくまで補助です。そのため、上記の記載は事実誤認であると思います。これは何もトヨタに限ったことではなく、シボレーボルトPHVでも同じことです。なぜなら、エンジンが搭載されているために、実質EV用のバッテリーを搭載する空間がないのです。また、バッテリーは極めて重いので搭載すればするほど車体が重くなり、エンジン性能の検討をしなければなりません。)

電気自動車で遅れを取ったトヨタの困惑

※(大野註:本当にトヨタは遅れをとったのでしょうか?)

一方、ハイブリット車で世界市場を席巻してきたトヨタやホンダ(大野註:ホンダ?二番煎じです)などの日本の主力は電気自動車の開発・発売に遅れを取ってしまいました。同じ排ガスゼロ車(ZEV)でも電気自動車の場合は一度の充電による走行距離が短いため、長距離走行のためには燃料電池車(FCV)の方が好ましいとの判断をしたからです(大野註:それは違うと思います。かなり大きな部分を占めるのが、日本のエネルギー事情だと思います。日本では石油が採れない。だから家庭用電気で走るEVは日本では非実用的です。一方米国は、ガソリンがひとに売るほど有り余っているからハイブリッドでいいんです。そういう判断をトヨタはしたと思います。千葉商科大の先生より思慮深いですよ)。FCVは空気中の酸素と燃料の水素を反応させてできる電気で走るため、走行中にはCO2を出しません。「EVかFCVのいずれを選ぶか」、日本の主力は熟慮の結果FCVを選びました。トヨタが2014年11月に開発・販売した燃料電池車「MIRAI」はその代表です。ホンダも2017年3月、FCVの「クラリティ フューエル セル」のリース販売を開始、2017年後半には米国や欧州市場にも投入する計画となっています。

だが、ここに一つ大きな問題があります。カリフォルニア州では燃料補給のための水素スタンドが大幅に不足し、燃料電池車の販売・普及の大きな足かせになっていることです。さらに日本車にとって都合の悪いことは、走行距離が短いとされてきた電気自動車も、技術革新によって一度の充電で350km近く走れる車が登場しています。(大野註:テスラモデルSは一度の充電で500kmといっています。ただし、1400万円します)今後、競争によって一度の充電で走れる走行距離はさらに伸び続けると思われます。参考までに、2017年現行プリウスPHVは、カタログデータとして満タン時には、1480km、実質1000km走れます。

(大野註:三橋先生との意見の違いは、アメリカにおける電気自動車の位置付けです。カリフォルニア州では、テスラがいることもあり、電気自動車に対する理解がありますが、他の州ではどうでしょう?大衆は大気汚染なんていってもどこ吹く風、大排気量のマッスルカ―が大好きです。カリフォルニアでも1980年代は、ロス郊外からダウンタウンを見ると空がこげ茶色でした。でも北京よりましですが。石油がたくさん採れ、しかもシェールガスが採算に乗った2017年の今、電気自動車?です。アメリカの人々はテスラが電気だから買うのではなく、「自動運転」に興味があって買うのです。(アメリカは地球温暖化なんてどこ吹く風、京都議定書の取り決めからも既に脱退しています)

技術革新の勝者が次の時代の敗者に陥る危険性

トヨタなどは当面の対策としてはCO2クレジットの購入やプラグインハイブリッド車(PHV)で対応せざるをえないでしょう(大野註:それでいいと思います)。トヨタは6月、今秋にPHVを搭載した新型車「プリウスPHV」を発売すると発表しました。一度の充電で走行できる距離は60km以上(従来のプリウスPHVは26.4km)に伸びます。ホンダも海外で販売している「CR-V」をフルモデルチェンジし、今年末までにPHVとして売り出す計画です。そのPHVも2020年にはエコカーの対象から外されるかもしれないとの観測もあります。

長期的にみると、ZEVは電気自動車と燃料電池車の二つに大別されるでしょう。(大野註:でも、家庭用電源から充電する限り、EVはZEVではありません)日本のようにEVよりもFCVが優れていると判断しても、巨大な自動車市場のアメリカが電気自動車に大きく舵を切った今(大野註:本当にそうでしょうか?)、トヨタやホンダも燃料電池車中心の戦略を練り直す必要があります(大野註:練り直す必要はないと思います。いまのままでいいです。)。米市場でFCVを普及させるためには水素ステーションを短期間に設置しなければならないが、そのためには膨大なコストがかかり現実的ではありません(大野註:米国で普及する必要はありません。2016年にアメリカと国交を回復したキューバでは、50年前のアメリカ車を直し直し使っています。あれです。世界中が燃料電池車になってもアメリカは独自の文化を発展させてマッスルカ―に乗っていればいいのではないですか?)。長期的にはFCVが性能、価格面で優れているとしても、足元でEV市場が急拡大すれば、それに積極的に対応しなければ有力な米国市場で劣勢に立たされることになります。デファクトスタンダード(事実上の標準)としてEVに軍配があがれば、欧州、中国などの巨大市場にも波及するでしょう。日本発のFCVがガラパゴス化に陥る危険性もあります(大野註:ありません!日本は水素立国するのです!大東亜戦争が石油の禁輸を発端として始まったのを忘れましたか?EVの電源は何ですか?)。この際、トヨタやホンダに求められるのは時代変化への機敏かつ弾力的な対応です(トヨタやホンダはちゃんと計算してやっていると思います)。

一つの時代の技術革新の勝者が次の時代の敗者になるケースは歴史を振り返れば枚挙にいとまがないことを自覚すべきです(大野註:そうとも思いません)。

次の動画は、あの有名な明治天皇の玄孫「竹田恒泰」先生です。先生の視点は常に日本の国益ですから、判ってらっしゃいます。

動画出典:youtube 竹田恒泰チャンネル

 

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