運転中のスマホ・携帯電話の禁止について

15 8月 2016

今から約26年前1990年アメリカカリフォルニア州に住んでいた頃の話ですが、車載の電話機が大流行で、早速わたしも取り付けて使っていました。あるとき電話をしながらクルマを運転中、赤信号を見落として左横から進行してきた車両の右後輪付近に衝突したことがあります。幸い怪我人は出ず、車両の損害だけでした。今思えば電話するということが赤信号を見落とした原因だったと思います。

脳の記憶のメカニズムは、認知心理学という分野で感覚記憶、短期記憶(ワーキングメモリ)そして長期記憶に分類されます。この中でクルマの運転で活用されているのが作業メモリまたは作動メモリと呼ばれるものであり、記憶容量が小さいことが特徴です。どのくらいの記憶容量かという研究によれば、7±2(平均5桁)の数字がやっと憶えられるくらいの容量しかありません。例えばクルマを運転中赤信号が見えた時、赤信号だということが短期記憶に入り、長期記憶から停止しなければならないという情報が入ってブレーキを踏むという指令が足に伝えられて行動するという流れです。上の例のように運転中電話などをすると、脳の活動が電話の受け答えに割かれて、赤信号という情報が短期記憶に留められずにスルーしてしまいます。つまり目は赤信号を見ていても赤信号という情報が脳に留まらないため、結果的に赤信号の見落しとなります。

運転中の携帯電話・スマホの禁止は大変重要な意味がありました。かくいうわたしも平成18年頃運転中の携帯電話使用で違反切符を切られてゴールド免許証でなくなった経験があります。ヨーロッパでは、今でもMT車が大半ですが最近携帯電話の普及に伴ってAT車が増加しているようです。しかし、如何にハンズフリー電話が普及しても頭の働きが限定されるのではハンズフリーであっても危険だといえます。

クルマの運転には当たり前ですが脳が極めて重要な役割を果たします。『ペダル踏み間違い事故』の防止には、運転に『集中』するとか『気合』を入れるとかいうような精神論ではなく科学的なアプローチが必要です。(下図出典:認知心理学会より)

 

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記憶の多重貯蔵庫モデル(出典認知心理学会)

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