大野一郎

大野一郎大野一郎 / Ichiro Ono

工業大学の建築学科(意匠専攻)を卒業しました。
もともとはパイロットになりたかったのですが、昭和47年のオイルショックにより当時パイロットの就職は困難であったためあきらめてこの道に進みました。
大学では体育会航空部(グライダークラブ)に所属していました。

卒業後就職させて貰ったのがゼネコン準大手の飛島建設でした。
ここでは、入社2年目より海外事業本部に配属になり、ブルネイ、マレーシア、インドネシアあるいはシンガポールなど東南アジアで建築物の現場監督をしていました。
そのうち所謂バブル景気に乗って会社はアメリカ合衆国に進出し、主に不動産を取り扱う現地子会社を設立したときアメリカ合衆国LA(ロスアンジェルス)の駐在員になりました。

セスナ サイテーション Cessna Citation
Cessna Citation

もともとグライダーをはじめ、飛行機が趣味だったこともあり、アメリカで飛行機操縦を習い始め、気が付いたときはジェット機(写真サイテーション501型SP シングルパイロット)の免許・資格を取得していました。

なお、自分の英語能力習得のため、周りにあまり日本人の住んでいないところでなおかつ空港(カリフォルニア州オレンジ郡フラトン空港)から至近の位置にアパートを借りて住んでいました。
また、航空管制は全て英語ですのでこれが理解できないと致命的です。右に行けとの指示で左に入ったら空中衝突です。これらの努力の甲斐があって何とか一定レベルで英語を話せるようになりました。

結構長い間アメリカに居住した後、どうも自分は土建屋・不動産屋よりパイロットに向いているのではないかと若気の至りで考えるようになりました。

そこで人生の大転換を迎えます。
伊藤忠アビエーションという伊藤忠商事の子会社がセールスパイロットという職種で採用してくれることとなり、こちらに転職いたしました。

当時はバブル経済の真っ盛りで日本人でもビジネスジェット機を購入する人がおられました。機体価格は1機30億円くらいしました。その人たちは今ではほとんど全員刑務所に入っています。

大野一郎 コクピット

セスナ カトラス Cessna 172RG Cutlass RG2
Cessna 172RG Cutlass RG2

結局パイロットにはなれませんでしたので伊藤忠アビエーションを退職し、日本の事業用操縦士の免許を取得するために調布飛行場(当時、現在は東京都空港)に通いました。日本ではセスナ172型という軽飛行機を教官付燃料込でレンタルすると1時間約5万円(2018年のいまも約5万円です)もの料金でした。

無職になったわたしは両親から借金をし、約50時間のフライトをして日本の事業用操縦士の免許を取得し、そのときの旧運輸省航空局の試験官にANAに就職したいので紹介して欲しいとお願いしたところ、運輸省でパイロットの欠員が1人あるので受験してみないかとのことで受験させてもらいました。
それで旧運輸省のパイロット(運輸省航空局管制保安部運用課飛行検査)になれたのです。

YS-11YS-11 機体記号JA8610

この機体は生産2号機です。

YS-11YS-11 機体記号JA8709

その後黄斑変性症という目の病気にかかり、飛行機を降りた後は旧運輸省航空事故調査委員会航空事故調査官になりました。
ここでの経験は本当に自分の後半人生の要になったと思います。

退官後はスカイネットアジア航空(倒産後現ソラシドエアー)の立ち上げのお手伝いをしたあと父親の介護のため一時何もしていない時期がありました。
そのときに縁があって高校時代の恩師の先生(元日本体育大学付属荏原高校校長)とお会いする機会があり、その人のご紹介で神奈川大学大学院人間科学部博士前期課程に入学いたしました。

ここでは、「ペダル踏み間違いによる暴走事故防止」の研究を実施したかったのですが、実験装置などが十分ではなく、現在の恩師である九州大学名誉教授の松永勝也先生及び九州産業大学合志先生のおられる九州産業大学情報科学研究科に2年次より編入させていただきました。
ここで無事ペダル踏み間違い事故防止の研究を完成させることができました。

現在は九州大学統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻博士後期課程に進学し、ナルセペダルに代わる踏み間違い防止の「手動スロットル」及び「左足ブレーキ」の開発をし、踏み間違い事故防止の研究しております。
手動スロットル装置は、2013年の5月には実車(トヨタプリウス)に装着し、実際にフィールド実験(約3万km公道走行)を実施しました。その後2016年8月に納車された燃料電池車トヨタミライに10月に装着し直して現在に至っています。また、左足ブレーキ装置も開発し、2016年12月に実車(トヨタエスティマ)に装着いたしました。2017年7月には特許申請をいたしました。手動スロットル装置は実車に装着してから約4万キロ、左足ブレーキ装置は約2万キロを公道試験走行いたしましたが、双方快調に走行中です。
ナルセペダルは、価格設定と操作上の多少の問題点を抱えており、手動スロットル装置及び左足ブレーキ装置はこれらの問題を解決できるものとなっております。なお、手動スロットル装置及び左足ブレーキ装置は双方とも装着した状態で車検に合格いたします。

学歴

1979年3月
千葉工業大学 工学部 建築学科 卒業
2010年4月
神奈川大学大学院 人間科学研究科 入学
2012年4月
九州産業大学大学院 情報科学研究科 編入学
2013年3月
九州産業大学大学院 情報科学研究科 修了 修士号取得
2013年4月
九州大学統合新領域学府 オートモーティブ専攻 博士課程 入学

学会発表

2015年8月
「人と機械の共生社会を実現」国際シンポジウム
(International Symposium on Socially and Technically Symbiotic Systems)
トピックス記事:STSS 2015 学会発表
「人と機械の共生社会を実現」国際シンポジウム 学会発表

職歴

1979年4月
飛島建設株式会社入社(海外事業本部)
1982年5月
飛島USA,Inc.(米国駐在員)
1993年5月
運輸省航空局管制保安部運用課入省(操縦士)
1997年4月
運輸省航空事故調査委員会配属(事故調査官)
2012年6月
国立大学法人愛媛大学 工学部 非常勤講師