左足ブレーキをご紹介すると必ず訊かれる質問があります:
その1:咄嗟のときに左足ブレーキは踏めるか?
その2:慣れるまで時間がかかるのでは?
その1答:踏めます。どうしてかは以下:
むかしむかし、かわさきW1(ダブリューワン)というオートバイがありました。これは日本製のオートバイですがイギリスのBSA、トライアンフというメーカーのコピー製品でもありました。このオートバイ、少し癖がありました。というのは、日本製のオートバイ、右足で後輪ブレーキ、左足でギアチェンジという配置でしたが、このW1は右足ギアチェンジ、左足ブレーキというものでした。W1ライダーは、みなさん問題なく乗っておられましたよ。
画像出典:Wikipedia 右足:ギアチェンジ 左足:ブレーキ 日本車は逆(右足:ブレーキ 左足:ギアチェンジ)
みなさんF1(エフワン)ってご存じですか? そうあのフォーミュラワンレースカーです。このクルマ、AT車なんです。
で、みなさん次の記事をご覧ください:
「あれ? 左足でブレーキペダルを踏むのですね」
先日とあるサーキットイベントで、レクサスLFAの同乗体験ドライバーをしていた時のこと、パッセンジャーシートで僕の運転を食い入るように観察していたお客様がそう驚かれた。
「レーシングドライバーの皆様は、左足ブレーキなんですか?」
「最近の主流は左足ブレーキですね」
「それにも流行がある?」
「技術の変革にあわせると左足ブレーキのほうがメリットがあるから…」
相当にドライビングに観察眼があるようで、操作方法に対して熱心に質問された。
「公道でも左足ブレーキですか?」
「僕は両刀です。サーキットでも公道でも…」
で、どちらかでなければならないという回答はない。だがキノシタは、左足ブレーキのメリットが、右足ブレーキの優位性を上回ると思っているのだ。特にサーキットでは、左足ブレーキが圧倒的に有効である。
かくいうキノシタも、多くのベテランドライバーがそうであったように、かつては右足で操作していた。左足ブレーキに改めたのはほんの数年前のことである。
かくいうキノシタも、多くのベテランドライバーがそうであったように、かつては右足で操作していた。左足ブレーキに改めたのはほんの数年前のことである。
左足ブレーキの優位性は少なくない。
まず、ペダルの踏み替えがない分だけ、タイム短縮につながる。アクセルペダルを床踏みしたままブレーキングポイントに差し掛かる。ここぞと思ったポイントでブレーキング開始。右足をアクセルペダルからブレーキペダルに踏み替えるまでの時間的なロスが短縮されるのだ。
一般的にはほんのわずかな時間かもしれないけれど、コンマ1秒にこだわるモーターレーシングの世界では、貴重な時間なのである。
コーナリング中の挙動変化に活用しやすいのも利点であろう。
限界コーナリング中に、アクセルコントロールすることは頻繁だ。エンジンパワーを出し入れすることで、マシンの挙動を整えることはいつものこと。
その時、パワーの出し入れに加えて、ブレーキによる制動も有効なのだ。チョンとブレーキペダルに足をあてて、アンダーステアを抑えたりテールをリバースさせたり…といったことが素早く的確にこなせるのだ。
右足でも不可能ではないけれど、踏み替え時間がかかり、やはりロスをうむ。左右の足をアクセルペダルとブレーキペダルにそれぞれ専念させる方がメリットがあるのだ。
ターボエンジンの場合、さらにそのメリットは際立つ。アクセルペダルを踏み込むことで初めて過給が開始されるターボは、レスポンスに遅れが残る。それを補うために、なるべく早くスロットルオンをしたい。つまり、左足ブレーキならば、それこそブレーキング時にすでに、加速のためのスロットルオンに転じることが可能になるのだ。
といったように、左足ブレーキの恩恵は少なくないのである。
だが最近は、技術が進歩した。ダブルクラッチなど駆使する必要はない。シフトレバーをコキコキすれば、多少エンジン回転とズレていたってストレスなく変速が完了する。
そもそもクラッチのあるクルマが少なくなった。日本では9割のクルマがオートマチックという時代である。マニュアルミッションのスポーツカーでさえ、2ペダルが主流である。だったら右足はアクセルペダルに、左足はブレーキペダルに専念させるのは時代の要請なのである。
スーパーGTのような、クラッチペダルの存在するレーシングカーでさえ、左足ブレーキは主流である。クラッチペダルを踏み込むのは発進と停止する時のみ。走行中は、クラッチ操作から解放される。
たとえば加速中、右足はアクセルペダルを床まで踏み込んでいる。そしてシフトアップ。シフトレバー、もしくはステアリングに備え付けられているシフトパドルに力を込めればエンジンコンピューターが瞬間的にパワーを絞る。すると自然に、吸い込まれるようにギアが移り変わるのだ。だからアクセルは常に全開のまま、左足でクラッチペダルなど踏み込まずとも最速で走れるのである。
そもそもドグミッションという機構が、クラッチペダルの必要をなくしてしまった。ギアとギアをいわば強引に入れ替えても、トラブルもなく変速可能なのだ。だからシフトダウンさえ、ヒール&トーでエンジン回転をあわせることなく、減速が可能なのだ。
カートあがりのドライバーが増えたことも、左足ブレーキ普及の要因だろう。彼らは幼少の頃から、左足でブレーキ操作を続けてきたのである。
フェラーリのコンペディションマシンコクピット。大きなブレーキペダルとフットレストが主役の完全2ペダルだ。昔、忙しかったのは右足だった。だが今は、右足はほぼ固定で左足が忙しく活躍する。そんな時代だ。
LEXUS LFAのアルミペダル。左右どっちの足でも操作できるようにはなっているけれど、サーキットを激走する時には左足ブレーキが好ましい。市街地でも、やはり左足に頼りたくなる。
サーキットでなくとも、左足ブレーキは有効だと思う。
市街地の路地裏をトロトロと走るような時、子供の飛び出しの心配があるような細道では、左足ブレーキのほうが安心である。
車庫入れなどで段差を乗り越えるような時も、左足でブレーキに軽く力を加えたままアクセル操作するとスムーズである。といったように、公道でもメリットはあるのだ。
だが、公的機関はいまだに「ブレーキペダルは右足で操作することが望ましい…」としている。法的に違反だとされてはいないのだが、不思議なことに推奨はされていないのだ。したがって、運転教習所でも、教えるのは右足ブレーキである。
理由はこうだ。右足ブレーキに慣れ親しんだ人が左足ブレーキに代えると踏み替え事故が起こるかもしれないと。フットレストに左足を乗せて体を支えることが正しい運転姿勢につながるとも。それが右足ブレーキを推奨する理由らしい。
だったら、最初から左足ブレーキに慣れればクリアできるし、ホールドのいいシートならばOKなのかとツッコミどころ満載である。ともあれ、公的にはいまだに右足ブレーキ推奨スタイルを崩そうとしていないのが現状だ。
画像出典:Wikipedia
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なんかわけわからんことを言っていますが、「左足ブレーキ車」は左足でブレーキを操作するように設計されたAT車です。だから左足でブレーキを操作しやすいようになっていますし、普通免許を所持している人なら誰でもすぐに操作できます。For sure!
だって遊園地のゴーカート、3歳児でも、誰でもすぐ操作できるでしょ。これがその1、その2質問対する回答だと思います。
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