2017年7月22日のニュースで福島第一の3号機でロボットによって燃料デブリが発見されたかもしれないということが報道されました。2011年3月11日のあの日から数えて6年目のことです。
福島の汚染水は既に行き場がなく、福島第一の敷地は2019年には一杯になるといいます。原発周囲に凍土壁を築いて地下水を止めるという計画も失敗しました。結局タンクの汚染水は海に流すしかないというのが結論になっています。
わたしは原子力というものは人間の手に負えないのではないかと思います。一度火をつけたら人間の手では消せない代物だと思います。
しかし、エネルギー資源の乏しいわが国にあって、石油よりは持続可能性が高いと思われていたのも事実です。しかし、高速増殖炉の夢も消え、結局残されたのは高放射性廃棄物だけではなかったのでしょうか?
さて、東芝の問題です。以下MEG2NEWSからです。
東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口
ことの発端は、2006年のことです。
この年、東芝は、アメリカの原子炉メーカーのウエスチングハウスWH社を買収しました。アメリカの原発建設に参加したかったからです。
当時、アメリカは、CO2環境問題から原発回帰の機運があり、原発建設の開始が考えられていました。包括エネルギー法といいます。東芝は、この話に飛びついたのです。
順調なWH社
既存のアメリカの原子炉の多くは、WH社によるものであり、そのメンテナンスだけで莫大な収益を上げていました。
WH社は、アメリカの原子力政策にも精通しており、原子力発電を規制していた「アメリカ原子力規制委員会(NRC)」ともツーカーの仲だとされていました。
そのためか、東芝の買収後、WH社は、次々にアメリカの新規の原子力発電所建設を受注しました。
2008年4月、WHは、アメリカ・サザン電力の子会社であるジョージア電力(ジョージア州)と、2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
さらに2008年5月には、WHはアメリカ・スキャナ電力の子会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス・カンパニー(SCE&G)と2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
また中国でも2007年に4基の建設を受注していました。
ここまでは東芝の目論見通りだったといえます。順風満帆。
しかし、この事業計画は順調には進みませんでした。
ご存知のように、2011年に東日本大震災が発生したからです。
サザン電力、スキャナ電力のいずれの原発も、2011年に着工の予定でした。
しかし、大震災にも関連してアメリカ原子力規制委員会(NRC)の承認がなかなか下りなかったのです。
そのため、NRCの承認が下りたのは、ようやく2012年のことなのです。
そして、着工されたのは2013年です。
2年遅れの工事着工は、莫大な追加費用が発生しました。
丸儲けしたアメリカの電力会社
東芝が窮地に陥ったのは、S&Wという大赤字会社(現地の監査法人が100億ドルの黒字と報告)に騙されたからです。東芝も目先の利益に目がくらんで遠大な詐欺計画に気が付かなかったのです。固定価格オプションというもので、工期以内に終われば560億ドルの利益が見込め、工期が伸びれば全てWH社=東芝が責任を持つというものです。アメリカ人はズルいのです。日本人は甘ちゃんでした。
通常、新しい原発の建設は費用超過がつきものなので、その負担は電力会社と受注企業が分担するのが通例となっています。
しかし、サウスカロライナのスキャナ電力の場合、超過コストをほとんど負担していません。スキャナ電力と東芝(WH)が、当初結んでいた原発建設契約の総額は約76億ドルでした。固定価格オプションによって追加費用を支払っても、総額は約77億ドルです。数十億の追加コストが発生しているのに、スキャナ電力の負担はほとんど増えていないのです。
東芝はアメリカの巧妙な罠にどっぷり嵌りました。
しかも、さらに腹立たしいことがあります。
アメリカ側のスキャナ電力は、原発建設の超過コストを、ちゃっかりを電気料金の中に組み入れているのです。つまり、スキャナ電力は、住民から超過コスト代をせしめていながら、超過コストの負担は一切していないのです。
スキャナ電力のあるサウスカロライナでは、電力料金は、総括原価方式という価格設定方法が採られています。
アメリカでは、州によって電力料金の決め方が違っており、大まかに言って「総括原価方式」「電力自由化」の二つの地域がありますが、サウスカロライナは、「総括原価方式」を採っているのです。
総括原価方式というのは、電力をつくるためにかかったコストに、一定の利潤をプラスして決められるものです。当然のことながら、発電所の建設費も、この原価に含まれることになります。(大野註:日本の電力会社はすべてこの方式)
東芝(WH)に原発建設を発注しているスキャナ電力は、2009年以降、電気料金を9回も値上げをし、18%増となっています。これは、原発建設の費用がかさんだために、電気料金に転嫁するという建前になっています。
が、前述したように、スキャナ電力は、当初の原発の建設の契約額から、ほとんど上乗せはしていません。
つまりは、スキャナ電力は、丸儲けしたということなのです。
2005年から始まったアメリカの新原子力発電事業は、2010年のシェール革命によるガス発電の大躍進と、2011年の福島第一原発の事故により、大きく後退しました。そして、建設中の原発は、巨大なコスト超過により、大きな損失を蒙りました。
現在、その損失を、全部、東芝一人が背負わされてしまったという構図になっています。東芝が破綻しかかっているのは、それが本当の原因なのです。(以上大村大次郎さんの記事から抜粋)
よくアメリカのプール付きの大豪邸がTVにでます。家族の人数分だけ豪華なクルマを所有し、立派な犬がいて、広い芝生の前庭。全米で99%が残り1%のために働くといった構図です。トランプ大統領。大金持ちです。でも国家ぐるみでこんなことをしているのですよ。一番腹が立つのは、このように設けたうえに建設超過費用をさらに電気料金に上乗せしているのです。東京電力もここまで悪くないですが、原発を稼働させなければ利潤が上がらず、福島の廃炉なんかどうでもいいから一刻も早く停止している原発を動かしたいのです!
この原発にかけたお金、高速増殖炉「もんじゅ」にかけた1兆円、水素事業に投資したらどんなにか日本の国益になっていたことでしょう。いままでのことは仕方がないから、原発は忘れて水素に大きく舵を切ることを望みます。
画像出典:Wikipedia
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