何故AT車のブレーキは右足操作? 大胆推測

11 2月 2022

そもそもAT車が生まれたのは何故?:

<Car Me>の記事より:

市販車初搭載から80年!オートマチック車はなぜ生まれた?

更新日:2019.09.25

いまや国内で販売されている新車の約98%がAT(オートマチックトランスミッション)という時代です。クルマ好きでも「このところATしか運転したことがない」という方は多いかもしれません。では、どんな時代に何のためにATは生み出されたのでしょうか。

文・山本 晋也

運転をラクにするためアメリカで誕生

エンジン車が一般向けに市販されるようになったのは20世紀初頭。世界初の大量生産車といえるT型フォードがアメリカで生まれたのは1908年です。そのT型フォードのトランスミッションはクラッチレスの2速セミATといえるものでした。

変速操作自体は必要でしたが、クラッチ操作は不要となっていたのです。足元に3つ並んだペダルはブレーキ・リバース・前進の変速切り換えという機能が与えられ、アクセル操作は指で行なうというものでした。これは、MTの操作が難しいための対応といわれています。

最初の大量生産車からイージードライブを求める声があったのか、イージードライブを実現したからT型フォードが大ヒットしたのか、どちらが先かは不明ですが、簡単に運転できることは自動車の普及につながったといえます。

なにしろ当時のMT(マニュアルトランスミッション)は現代のそれとは大きく違います。シンクロナイザーリングと呼ばれる回転同期機構はありませんから、クラッチを二度切りしてエンジンとトランスミッションの回転を同期させる必要がありましたし、シフトレバーやクラッチの操作も重いものでした(下線大野)。

自動車を大衆に普及させるには、運転の難易度というハードルを下げることが重要だったのです。

現在のATにつながる4速ATが誕生したのもアメリカで、それは1939年のことでした。今度はGM(ゼネラルモーターズ)が開発したものが市販量産車への初搭載となります。さらに1948年には、GMはトルクコンバーター(大野註:流体継手)を用いたATを生み出します。

日本では1990年代から一気に増える

AT 免許証

画像出典:wikipedia Car Me

さて、日本においてAT車の普及が始まったのは1960年代です。トヨタ・クラウンに2速ATが搭載されたのは1963年。ホンダN360に3速ATが採用されたのは1968年です。とはいえ1980年代まで新車販売におけるMTとATの比率は五分五分でした。

しかし、1991年に普通乗用車のAT限定免許が誕生するとAT車の比率がどんどん高まります。1990年代のMT:AT比率は2:8くらいでしたが、2000年頃には1:9に、そしていまでは98%がATとなっています。

日本においてはイージードライブのニーズというよりもAT限定のドライバーが増えたことで、AT比率が高まっているといえるのです。

しかも、現代のATは単なるイージードライブのメカニズムではありません。多段化が進み、いまや10速ATも登場しています。もはや人間の操作では難しい小まめなシフトチェンジを機械が代わりにやってくれます。

(中略)

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動画出典:youtube

この方がいっていることは大半が「高齢運転者」による左足でのブレーキ操作がどうのということです。その前提というのは、右側配置でのブレーキ操作と高齢者は鈍いということの2点です。声を聞いていると動画投稿主は相当若いようです。

確かに現行AT車のペダル配置と吊り下げ式ブレーキ(支点が上にある)では、左足ブレーキ操作に難しい部分があると思います。それは何故かというと:

画像出典:大野一郎

吊り下げ式ブレーキは、上部に支点があるので踵をつけたまま前に押すのは難しいし、ブレーキを押すためには、踵を床から離して操作しなければなりません。そのためには膝に力を入れて足を浮かさなければなりません。

この点下部に支点があるオルガンペダルは、足を床につけたまま操作できます。すなわち、運転中常時ペダルに足を乗せたままにすることができます。

現行AT車ではペダル操作を右足で行うため、右寄りのペダル配置となっています。この状態のブレーキペダルを左足で行うことは、体幹が右を向くことになります。

何故このようなペダル配置になったのか、大胆予測をしてみますと:

AT車が世の中に出てきた1960年末、AT車とMT車を混在して運転する運転者が多かったのではないかと思います。というのは、MT運転者が左足でブレーキを操作すると無意識にクラッチを踏む要領で踏んでしまい、思わぬ急ブレーキとなることが多発したのではないかと思います。このため、アクセル、ブレーキは右足で踏むということになったのではないかと予測する次第です。

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