クルマは便利です。でも包丁と同じで凶器にもなるんです。
この事件は2019年5月に発生しました。
動画出典:YouTube
『運転ミス』とされた事故が一転し『あおり運転』で在宅起訴 バイク男性が死亡の事故 車運転の男は「予想外で妨害の意思はない」と無罪主張
『過失運転』の事故が一転し『あおり運転』が原因として在宅起訴
おととし5月、石川県白山市の北陸自動車道で事故が起きた。現場には大破した大型バイクが残されていて、道路を隔てた先にはヘルメットが転がっていた。この事故で、大型バイクを運転していた黒川敦愛さん(当時76)が死亡した。
その後、警察は「並走していた車が事故を引き起こした」などとして、JR西日本の職員・本松宏一容疑者(44)を過失運転致死容疑で書類送検した。
事故から1年以上が経った去年9月、取材班は「捜査が急展開した」という情報を掴み、事故現場へと向かった。
「車とバイクの位置関係を細かく確認しています。事故当時、あおり運転があった状況を再現しているものとみられます」
“過失運転”として処理された事故が、一転して“あおり運転”だった可能性が浮上していたのだ。事実上の「捜査のやり直し」。
現場では、黒川さんの大型バイクに見立てた白いバイクと、本松容疑者の車と同型種を走らせ、6時間にも亘って実況見分が行われた。
そして、今年2月。金沢地検は「あおり運転」が事故の原因だったとして、本松被告を過失運転ではなく、危険運転致死罪で在宅起訴した。
「無理やりな車線変更」「幅寄せ」再調査のきっかけは“ドラレコの映像”
一連の捜査の中で何が起きていたのか。今年11月5日に遺族側の代理人弁護士が取材に応じた。
(遺族側の代理人 冨宅恵弁護士)
「(遺族が)後続車のドライブレコーダーを見られて、おそらく見られた直後に『大変な事故なんです』という連絡を受けました。(Q映像を見て率直にどう思った?)かなりショッキングな映像でした。これはもう意図的にやっているとしか考えられない」
再捜査のきっかけとなったのは、黒川さんの後方を走っていた知人女性のヘルメットに設置された“ドライブレコーダーの映像”だった。
取材を進めると、記録された映像の内容が少しずつ見えてきた。
証言などを基に映像を再現した。現場となった北陸自動車道は2車線。追い越し車線を走る黒川さんと女性のバイク。左前方を走る白い車が、本松被告の車だ。
2人に気付いた本松被告は、黒川さんに抜かされまいとスピードを上げた。前方の黒い車に追いつくと、無理やり車線変更を行い2人の間に割り込んだ。
そして、急激に減速。映像には2度減速する様子が映っていた。
この時、後ろにいた女性は、事故当時のことを次のように証言している。
(後続の女性)
「急に減速してきたので、急ブレーキをかけた。時速100kmから60kmまで減速して、転倒するかと思った」
女性が無線で黒川さんに「邪魔されている」などと伝えると、黒川さんは「左に寄って待つ」と答えたという。
黒川さんがバイクを左車線に移すと、本松被告の車が急加速し、並走した時だった。車が左側に幅寄せし、バイクはバランスを崩して転倒した。
映像には「あおり運転」とみられる様子が記録されていたのだ。
車を運転の男を直撃「あおり運転はしていない」運転ミスが原因と主張
一体なぜ、このような「あおり運転」を行ったのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
始まった裁判員裁判…被告側は「妨害の意思はない」と無罪主張
そして、11月15日、金沢地裁で裁判員裁判が始まった。争点は「通行を妨害する意思があったのかどうか」。
検察側は冒頭陳述で次のように指摘した。
(検察側)
「やむを得ない事情がないにも関わらず、黒川さんの約1m前方から走行車線へと侵入し、著しく車両を接近させた。指示器さえ出さず、通行を妨害する意思はあった」
一方の本松被告側は、「無罪」を主張した。
(被告側)
「黒川さんとスピード差もあったので、『車線変更しよう』と思ったが、黒川さんが数秒間に急加速したため、車両同士が接近してしまった。予想外だった。妨害の意思はない」
画像出典:MBS
北陸道幅寄せ死 懲役6年 金沢地裁判決 危険運転を認定
「妨害」主観的側面 客観的証拠 積み重ね判断
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