B1の開発
ガスタービンヨタハチの開発が開始されたのが1965年(昭和40年)のことでした。そして突然ですがベトナム戦争が終結したのが1975年(昭和50年)のことでした。ベトナム戦争で活躍したのはB52です。北ベトナムのジャングルにナパーム弾を落としまくって、自然破壊をしまくった爆撃機です。また、ジャングルの下に隠れるベトコンを上空から発見できるようにデュポン(フランスの悪名高い化学薬品メーカー)製の「枯葉剤」を上空からばらまいたのもこの爆撃機です。枯葉剤の影響でベトナムでは奇形児がたくさん生まれました。広島・長崎で非戦闘員の頭上に原子爆弾を落としたアメリカ人らしい発想です。ともあれB52は未だに現役で、まだ飛んでおり、グアムに常駐しています。この飛行機は爆弾をたくさん搭載できるし、航続距離も長いのです。しかし、残念ながら速度が遅いのです。そこで、B-1は、古くなったB52の後継機としてガスタービンヨタハチと同じ年の1965年から開発が始まりました。B52のような全面戦争型の絨毯爆撃ではなく、低空で敵地に侵入して局地的に戦術核を落とすような戦争の形に変わってきたため、敵地進入時は超音速で、離着陸は低速でできるよう可変翼(翼の角度が変わる 高速時は後退翼、離着陸時は直線翼)機として設計されました。そのため愛称を槍をもって先駆けするランサー(Lancer 槍騎兵 そうきへい)といいます。このくらいの大型の機体になると、通常操縦性に機敏さを求めることはしないので、操縦輪(コントロールホイール)が普通ですが、B1ランサーは、操縦桿(コントロールスティック)です。B1はまた、相当のステルス性能(索敵レーダーに映りにくい)を持っているそうです。
B1の搭乗員は、パイロット2名、兵装システム操作員、防御システム操作員の4名で、それぞれの席は戦闘機と同じように射出座席となっています。また、当初はロックウエル・インターナショナルという会社で製造されていましたが、2017年現在生産はあのボーイング社に変更されています。
画像出典:Wikipedia 下段右:B1の操縦席ですが、画像右下のスロットル(4つ白い丸)が通常とは違って随分副操縦士側に寄っています。機長はスロットルを触らないのかな?と思ったのですが、今ようやく思い出しました。機長のスロットルは左側についています。何故なら右利き左利きに拘わらず、操縦桿は右手右腕で操作します。したがってスロットルは左手左腕です。
動画出典:youtube
なんでB1爆撃機の話題?
実は2017年8月、北朝鮮のICBM開発に弾みがつき(ウクライナ製造のICBMロケットエンジンを闇市場で入手したといわれています)火星12という中距離ミサイルの試射を繰り返し、あまつさえグアム付近の海上に対し包囲射撃(4発)を行うと発表したのです。話は俄然、アメリカの安全保障の問題になってきました。そこでアメリカの北朝鮮に対する示威活動として、グアムからB1を飛ばして韓国上空を飛行させ、金正恩(きんしょうおん)に対して威嚇したのです。いつでもやれるぞと。
バンカーバスター
金正恩は普段、アメリカの急襲を怖れ地下深い塹壕司令部で起居していると伝えられています。そこで登場したのが「バンカーバスター」と呼ばれる地中貫通爆弾です。バンカーバスターは、F16やFA18のような戦闘機からでも発射できるのですが、戦闘機にバンカーバスターを兵装すると、レーダーで捕捉されやすくなるので、ステルス性のあるB1の登場となったようです。
日本が一番恐れていること
本ブログでも重ね重ね申し上げているところですが、北朝鮮の核ミサイルの恐怖は、まさしく平成29年度版広島長崎であります。日本には憲法九条がありますので核ミサイルに対してはアメリカから護ってもらう以外に手立てがありません。しかし、アメリカも北朝鮮のICBMが怖いのは事実です。万が一金正恩を撃ち漏らしたら捨て身の攻撃でやられるかもしれません。そこで、日本が一番恐れることは、「北朝鮮とアメリカが取引をして長距離ICBMの開発だけ止めるという約束または、開発済ICBMの廃棄」を結ぶことです。アメリカの安全保障上の問題は消えるかもしれませんが、わが国日本の安全保障はまるで風前の灯火状態になります。
動画出典:youtube
しかし、1994年(平成6年)当時のアメリカ大統領ビル・クリントンは北朝鮮の核兵器開発成功について特使カーター元大統領を派遣して核兵器開発中止と引き換えに原子炉2基と50億ドルを与えるという約束をしました。カーター元大統領はその仕事に対して「ノーベル平和賞」を授与されました。しかし、結果はかくの如しです。
仮にアメリカと北朝鮮が長距離ICBM開発中止(北朝鮮は)を約束しても相手は、カーター元大統領の時と同じ、嘘です。
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