これは2018年1月9日に群馬県前橋市で発生した85歳高齢者による暴走事故をきっかけにして報道された産経新聞記事です。以下(この記事は署名記事ではありません):
(2018.1.13 05:02配信)
前橋市で2018年1月9日朝、自転車で登校中の女子高校生2人が、乗用車にはねられ、重体となりました。運転していたのは、85歳の高齢男性でした。 被害者にとってはもちろん、事故は加害者やその家族にとっても悲劇に他なりません。
高齢者の運転適応能力が低下するのは、自然の摂理です(*¹)。免許返納の促進は、被害者のみならず、高齢ドライバーを守るためのものでもあります。
運転に不安があれば自主的に返納すべきです(*²)。家族も目を配りたいものです。明らかに能力を欠きながら運転に固執するケース(*³)には、強制力をもって免許を返納させる仕組みが必要ではないでしょうか。
高齢ドライバーによる重大事故が、後を絶ちません。交通死亡事故全体に占める75歳以上の運転者の割合は、平成18年の7・4%から28年は13・5%に増加しました(*⁴)。
団塊世代が70歳代にさしかかり、今後、高齢化社会はさらに進行します。対応を急がなくては悲惨な事故を止められません(*⁵)。
前橋の事故で、自動車運転処罰法違反の疑いで逮捕された男は、半年ほど前から物損事故を繰り返していたそうです。家族は免許を返納するよう再三説得しましたが、これを聞かず、事故当日も家族の目を盗んで運転していました(*⁶)。
男は昨秋の免許更新時に認知機能検査を受け、認知症ではないとされていました。その診断結果が運転能力への過信につながっていたとすれば皮肉です(*⁷)。
道交法は昨年、更新時や違反時などに義務づけた検査で認知症と診断されれば免許停止や取り消しにできるよう改正されました。 だが、高齢者の事故原因は認知症だけではありません。年齢に伴う判断力や運転技能の低下は、事故に直結する可能性が高いと考えられます(*⁸)。
免許を自主返納すれば公共交通機関の運賃割引が受けられるなどの特典制度の拡充もあり、返納件数は増えているが、十分とはいえません。返納に至る決断ができない運転者にこそ、判断力の欠如が疑われる矛盾もあります。
公共交通網の整備や自動運転の技術開発を待つ間にも、事故は起きます。認知症に限らない運転技能検査の義務付けと強制返納の仕組み作りが急務です (*⁹)。
画像出典:Wikipedia
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わたしも2018年1月に64歳になりました。そのわたしの目から高齢者を見ると、確かに1)気が短くなって我慢ができない 2)自分のことに手一杯で他人を見ることができない 3)身体的な老化から疲れやすい 4)人によっては物理的に体の動きが制限される(例えば、完全に後ろを振り向くことができないとか左は向けても右は向きにくいなど)
でも、世の中には、この便利なクルマが唯一の交通手段である人もいるのです。なんらかの公的代替え手段を考えなければなりません。それを確立した上での強制没収論議ではないでしょうか?
❶高齢者の運転適応能力が低下するのは、自然の摂理です(*¹):
しかし、どの程度低下するのかはひとそれぞれ千差万別です。運転作業に危険があるかないかの判定は、現在の科学では無理ではないでしょうか?
❷運転に不安があれば自主的に返納すべきです(*²):
このことには2つの問題が隠れています。返納しても困らない人と、僻地の老老介護などで不安があっても代替え手段がないひと、です。このような人には、公的な救済手段を用意できるでしょうか?
❸明らかに能力を欠きながら運転に固執するケース(*³):
<明らかに能力を欠きながら>2018年現在でも認知症と診断されれば免許証は強制没収です。それをこの記事のどこに<能力を欠く>ことの判断に客観性があるのでしょうか?
❹交通死亡事故全体に占める75歳以上の運転者の割合は、平成18年の7・4%から28年は13・5%に増加しました(*⁴):
平成18年から28年の10年間で約2倍になったという訳です。しかし、この死亡事故の詳細が解りません。つまり、若い人でなく高齢者だから事故になったのかどうかという観点からの調査がない限り単純にこれを比べることはできません。ましてや少子高齢化の大きな渦の中で高齢者が社会に占める割合は大きくなっています。そのため死亡交通事故に占める高齢者の割合が多くなったのかもしれません。
❺団塊世代が70歳代にさしかかり、今後、高齢化社会はさらに進行します。対応を急がなくては悲惨な事故を止められません(*⁵):
今後高齢化社会が進行することは明白です。しかし、高齢者に特有の事故があるのかないのか明白にすることと、若年層と高齢者層と事故の遭いやすさがあるのかないのか確認する必要があります。
❻半年ほど前から物損事故を繰り返していたそうです。家族は免許を返納するよう再三説得しましたが、これを聞かず、事故当日も家族の目を盗んで運転していました(*⁶)。
本サイトの左足ブレーキ装置販売のページに載っている千葉のK.Iさんは62歳ですが、しょっちゅう物損事故を起こしています。だからこの1事故をもって全てに適用するのは公平ではないです。
❼男は昨秋の免許更新時に認知機能検査を受け、認知症ではないとされていました。その診断結果が運転能力への過信につながっていたとすれば皮肉です (*⁷):
この文節は非常に乱暴な論理です。「認知症ではないとされていました」では、この運転者は何だったのでしょう? 裏を返せば、本当は認知症だったのに検査で見逃されたというニュアンスです。だから運転者は過信して運転したのだと。
❽高齢者の事故原因は認知症だけではありません。年齢に伴う判断力や運転技能の低下は、事故に直結する可能性が高いと考えられます(*⁸):
年齢に伴う判断力・運転技能の低下をどう審査するのでしょうか? 事故の本質を全く理解していない議論です。例えば、高速道路上の追突です。これは、判断力、運動機能の低下では説明がつきません。また、ペダル踏み換え忘れ(踏み間違い)事故は、全年齢層に発生します。
❾公共交通網の整備や自動運転の技術開発を待つ間にも、事故は起きます。認知症に限らない運転技能検査の義務付けと強制返納の仕組み作りが急務です (*⁹):
ここでは事故は高齢者の判断力の低下と運動機能の低下から事故が起きるという論点です。ほんとですか?
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この記事が書かれる直接の原因となった2018年1月9日群馬県前橋市での85歳男性運転手の事故は、年齢とは関係ありません。詳しくは2018年1月12日の本ブログ投稿(下記)をご覧ください。
そう、上記産経新聞の記事は、間違いです。
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