『水素』ということのインパクト

07 8月 2016

その昔アメリカで石油の採掘が始まったのは1859年8月のことでした。アゼルバイジャンにある世界で一番古いバクー油田は1830年代から採掘しています。蒸留法(一度沸騰蒸発させてから沸騰点ごとに分留する方法)など原油から石油を精製する方法が確立され、その後ロックフェラー氏がスタンダードオイルを設立してアメリカの石油業界に君臨したのは有名な話です。採掘された原油は灯油として精製され灯りの燃料となっており、ガソリンなど爆発し易い軽留分は、厄介者としてだだ燃やすか川に捨てられていました。日本でも『日本書紀』には天智天皇の時代、西暦668年に、越の国(新潟県)から燃土(もゆるつち)と燃水(もゆるみず)が献上されたと記されています。現在でも新潟・秋田では石油を産出しており、八橋油田は有名で平均100万KL/年を産出していますが、国内需要の1%にも達していません。1886年にドイツ人カールベンツがガソリンを燃料とする内燃機関と自動車の特許を取得して、今まで捨てられていたガソリンが一躍脚光を得ました。原油が1バーレル$20だったものが採掘量の激増で1バーレル$1まで値段が下がって、採掘業者は青息吐息だったときのガソリンエンジンの登場ははまさに救世主でした。

今回の燃料電池車ミライは、燃料電池に圧縮水素を充填して走ります。資源のないわが国が建国以来初めて独自でエネルギーを国産化できる革命なのです。わが国としてみれば、ガソリンを使うようになったこと以上の出来事と思います。

 

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カールベンツが発明した3輪自動車

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1830年代のバクー油田(現アゼルバイジャン)

 

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新潟県八橋油田

 

 

 

 

 

 

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