テスラ宣言の2017年12月 モデル3 月産2万台を考える

24 7月 2017

テスラモデル3は純粋電気自動車です。その意味から競合車種である日産リーフの生産状況を見てみました。わたしは横須賀というところに住んでいます。日産リーフは横須賀市内の追浜というところで生産しています。

リーフの生産方法は、同工場で生産しているニッサンジューク(エンジン車)、ニッサンキューブ(エンジン車)と混流生産(大野註:同じ生産ラインを3車種が同時に流れる生産方式)しています。

リーフが月産何台生産可能かわかりませんが、2010年12月販売開始から2017年5月までの月別販売実績があります。下記:

日産リーフの登録台数(国内)
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
 1月 962 987 1,137 1,241 999 2,503 1,431
 2月 2,593 1,079 1,455 1,903 1,612 2,819 1,711
 3月 846 699 676 1,201 1,231 1,614 1,571
 4月 177 936 665 508 282 343 399
 5月 472 1,401 708 743 474 805 678
 6月 407 1,013 1,045 1,205 893 1,323
 7月 463 815 1,034 1,408 694 922
 8月 529 451 938 912 583 791
 9月 807 890 1,565 1,756 835 1,014
10月 832 662 1,257 1,098 359 513
11月 992 1,312 1,306 943 76 916
12月 19 1,230 870 1,235 1,259 1,019 1,232
年計 19 10,310 11,115 13,021 14,177 9,057 14,795 5,790
合計 78,284台

勿論、リーフは先行予約なんてありませんから、そこそこの在庫数で生産していると思います。最高の販売台数は2016年2月の2,819台、最低は2015年11月の76台です。

2010年12月から2017年5月まで6年5か月の累計販売台数は78,284台です。

画像出典:日産自動車 上段左:キューブ 上段右:ジューク 下段:リーフ 追浜工場では、この3車種を混流生産している。

画像出典:日産自動車 追浜工場 左:工場全景 右:横須賀市平成新港から外国に輸出

 

動画出典:youtube ニッサン自動車

※テスラがいうように先行予約40万台とすれば、日本の場合、先行予約に15万円のお金が必要になります。米国で予約する場合は$1000です。

通貨 予約金
USD $ 1,000
CAD $ 1,000
MXN $ 20,000
EUR € 1 000
DKK kr. 10.000
GBP £ 1,000
NOK kr. 10.000
CHF CHF 1’000
SEK 10.000 kr
AUD $ 1,500
RMB ¥ 8,000
HKD $ 10,000
JPY ¥ 150,000

まあ、日本円15万円として40万台を換算すれば軽く600億円の資金を集めたことになります。果たしてイーロンマスク氏はテスラモデル3を2017年12月に月産2万台体制にもっていけるでしょうか?

単なる参考ですが、あの世界的大企業トヨタが生産するプリウスの月別販売台数を見てみましょう。

年月

販売台数(販売ランキング)
プリウスαも含む

メモ
6月 17,946(1)
5月 15,092(1)
4月 9,920(2)
3月 22,447(2)
2月 15,958(1)
2017年
1月
9,883(3)
2016年合計 248,258台(1)
12月 12,776(1)
11月 13,333(2)
10月 14,053(1)
9月 20,043(1)
8月 17,503(1)
7月 27,988(1)
6月 28,785(1)
5月 21,527(1)
4月 20,770(1)
3月 31,434(1)
2月 19,010(1)
2016年
1月
21,036(1)
2015年合計 127,403台(2)

トヨタプリウスは、エンジンとバッテリーのハイブリッド車です。純粋電気自動車に比べて生産工数が非常に多いです。この販売実績をみると1万台から3万台の月別販売台数です。

それでは、どこでプリウス(プリウスαを含む)を造っているかというと下記表をご覧ください。なお、支那のように関税がめちゃ高い国は、輸出ではなく現地生産しています。

 

工場 事業内容・生産品目 完成年月 生産台数(千台)
本社工場 鍛造部品、ハイブリッド用部品、シャシー部品 1938.11
元町工場 クラウン、マークX、GS、MIRAI 1959. 8 71
上郷工場 エンジン 1965.11
高岡工場 RAV4、ハリアー、オーリス、プリウスαウィッシュ 1966. 9 370
三好工場 駆動関係部品、鍛造部品、エンジン関係部品 1968. 7
堤工場 プリウス、プリウスα、プリウスPHVカムリ、プレミオ、アリオン 1970.12 417
明知工場 駆動関係部品 1973. 6
下山工場 エンジン、ターボチャージャー、触媒コンバーター 1975. 3
衣浦工場 駆動関係部品 1978. 8
田原工場 LS、IS、GX、RC、ランドクルーザー、4ランナー、エンジン 1979. 1 283
貞宝工場 機械設備、樹脂型、鋳造型、鋳鍛型 1986. 2
広瀬工場 電子制御装置、ICなどの研究開発及び生産 1989. 3
トヨタ自動車九州(株) ES、HS、CT、RX、NX、SAI、エンジン、ハイブリッド用部品 1992.12 343
トヨタ自動車北海道(株) トランスミッション、駆動関係部品 1992.10
トヨタ自動車東日本(株) アクア、シエンタ、C-HR、カローラ アクシオ、カローラ フィールダー、ポルテ、スペイド、コンフォート、センチュリー、アイシス、駆動関係部品 2012. 7 480
トヨタ車体(株) ランドクルーザー、LX、ハイエース、アルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、エスクァイア、エスティマ、コースター 1945. 8 615

なお、上表のハイブリッド部品、エンジン部品、トランスミッション部品などもプリウスに使用されているので、厳密に言えば生産工場に含まれると考えられます。

プリウスを時には3万台生産するというのは、こういうことなんですね。

テスラは汎用リチウムバッテリーをパナソニックから購入しています。こちらの方の生産能力の問題もあります。イーロンマスク氏がいうようにバッテリーセルの中身をグラファイトからシリコンに変更したそうですが(大野註:起電力が高まる)、それはバッテリー自体の生産力が高まるということではないので、月の生産能力に変更はないと考えられます。また、バッテリーを新しくしたことにより、パナソニックの在庫が使用できなくなりますのでそこも問題になるでしょう。

パナソニック側としたら自社の製品が大量に売れるので増産体制もとるでしょうし、嬉しいことではありますが、どうかテスラと共倒れになるような事態は避けてほしいものです。

テスラの車体を構成する様々な部品は、結局自社で生産できるものは車体だけです。後は皆よそ様の製品です。トランスミッション、インバータ、バッテリー、ブレーキ部品、ショックアブソーバーなど車体構成部品数えあげたらきりがありません。これらをすべてまとめ上げて月産2万台を達成できるのでしょうか?

画像出典:Wikipedia

 

動画出典:youtube

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