トヨタの戦略 FCV(燃料電池車) or  EV(電気自動車)?

29 1月 2020

何故EV(電気自動車)がもてはやされるのでしょうか? 排出物がないから? でもみなさん、ちょっと考えてみてください。電気自動車の電気は、どこから来ますか? 家庭用電気ですよね。わが国においては主に火力発電所からきます。これらの発電所は、CO2(二酸化炭素)NOx(窒素酸化物)等の排出物を出しまくりです。また、家庭用電気を使うと長距離送電線のパワーロスによって効率的ではありません。また天然ガスや重油は日本国内では産出しません。油については輸入量の約8割を中東から輸入しており、国の基幹エネルギーを輸入に頼っている状況です。しかし、充電ステーションの設置が比較的安価にできるため広く全国に広まっています。また、既に芸術の域に達している内燃機関(エンジン)を必要としないEV車は、比較的簡単に工作生産できる利点があり、バッテリー(リチウムイオン電池等)やモーターが大きく進歩したため、フォルクスワーゲンなどの旧車をEV車にしてしまう会社なども存在します。2020年現在のEV車は、ニッサンリーフ、三菱アイミーブ等があります。

 

 

画像出典:wikipedia

電気代は僅かばかりのようです。しかし、停電時には全く充電できなくなります。

一方、わたしも日常的に乗っているトヨタミライなどの燃料電池車は、水素で電気を起こして走る電気車の一種です。2020年現在、水素作成のコストなどから天然ガス(プロパンガス ENEOSの場合)から蒸気改質法で作っています。日本全国で水素ステーションは2020年現在約100か所です。宮城県以北北海道には1か所も存在していません。また、沖縄には1か所もありません。わたしが居住する横須賀にもありません。一番近い水素ステーションは、横浜市上大岡にあるENEOS横浜南水素ステーションがあり、約32km離れています。水素充填は、移動式の水素ステーションでもできますが、タンク車の定置時間が短く、充填のタイミングなどがあり、あまり便利ではないため、どうしても固定式のステーションになります。また、例えば海老名ENEOS水素ステーションでは、原則日曜日休み、その他定期点検日があります。建設には土地代を除き約5億円かかります。このうち国から約3億円、地方自治体から約1億円の補助金があり、約1億円が事業者の負担となります。現実には、ENEOSの場合、土地を取得して純粋に水素ステーションとして建設したのは、半分にも満たないのではないでしょうか? 他は通常のガソリンスタンドとの併設になっています。ENEOS海老名(併設)、南横浜(純粋)における充填状況は、平均一日約3台です。水素は重量で販売しています。2020年現在1kg¥1,000です。消費税がついて¥1,100です。トヨタミライの場合、満タンで約4.5kgですので¥4,950です。3台とも満タンに充填しても¥14,850となります。ステーションには2-3人常駐ですので水素輸送費、製造費、建設費などを考えると一人分の人件費にもなりません。多くはENEOSのOB(シニア)の方々が充填してくれています。そのため、通常のガソリンスタンドのように窓ガラスを拭いてくれたりのサービスは一切ありません。ま、セルフのスタンド程度のサービスはありますが。

EV車と全く異なるのは、「水素は国内生産」できる可能性がとても大きいのです。だからこそ政府が力をこめて育成しようとしているのです。理論的には:

みなさんが中学生の時、化学の授業で水の「電気分解」をしませんでしたか? そう、水から水素を創ることができるのです。ただし、大量の電気を使います。2020年現在では、かなりのコストになるので水の電気分解から水素をつくることはできませんが、将来日本の技術力をもって再生可能エネルギー(太陽電池、風力発電、地熱発電、波力発電など)による電気で水の電気分解から水素をつくることが可能になると思います。わが国に水はたくさんあります。何しろ島国ですから。

国の基幹エネルギーを自分で生産できるということは、とてもとても重要なことです。かの日米戦争は、石油の禁輸(昭和16年当時 石油全輸入量の8割が米国からでした)から日米戦争に発展したことを考えれば、自国生産できる基幹エネルギーがあれば、夢のような話です。日本は将来的に安泰です。

下の動画は中部大学特任教授の武田邦彦さんの「無知な人が欲しがる燃料電池車」という動画です。無知な人ね~。

武田教授の略歴です:

 

講演会の武田邦彦(2011年6月19日)
人物情報
生誕 1943年6月3日(76歳)
日本の旗 日本東京都
居住 日本の旗 日本愛知県名古屋市
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京大学教養学部基礎科学科
学問
研究分野 生命を持たない生命活動材料の概念構築と開発
研究機関 中部大学
学位 工学博士(東京大学)
主な受賞歴 日本原子力学会特賞(1990年)
日本エネルギー学会賞(技術部門・共同受賞)(1991年)
日本工学教育協会工学教育賞(倫理)(1999年)
日本工学教育協会賞(2000年)
日本工学教育協会論文・論説賞(創成科目)(2003年)

動画出典:youtube

トヨタミライには既に3年以上乗っています。トヨタが公式HPで発表しているのは、82MPa(820気圧)で充填した場合、何キロ入るとは発表されていませんが、約700km(JC08モード走行の場合 走行条件がそれぞれ違ってしまうので室内走行モードによる 実燃費よりもかなり良くなる 約8割くらい)と発表されています。

*4 SAE規格(J2601)の標準条件(外気温20℃、高圧水素タンク内の圧力10MPaからの充填)に基づいた水素充填圧70MPaステーションでの充填作業におけるトヨタ測定値であり、仕様の異なる水素ステーションで充填した場合は、高圧水素タンク内に充填される水素量が異なるため、走行距離も異なります。また、同条件下で水素充填圧82MPaステーションで充填した場合は、走行距離は約700kmとなります。
  • 走行距離は使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて大きく異なります。

わたしのいままでの経験では、夏満充填で560km(最高値)、冬480km(最高値)です。EV車が充電切れのときどうやって救済するのか知りませんが、FCV(燃料電池車)の場合は、キャリアカーに積載して水素充填場所まで運ぶしか手段がありません。しかも補機バッテリーは簡単に放電してしまいます(車庫に2か月放置で放電 燃料電池からの充電はできません)。水素充填場所まで運んでも、充填スポットまで手で押すしかありません。だから怖いです。半タンになったらすぐ充填するようにしています。ただ消費税以外の税金が一切かからないので、ガソリン車(ハイブリッド車ではない 2010年型トヨタエスティマ2400)に比べて燃料費は約半分です。

燃費は、夏場エアコンつけっ放しで130km/kg、冬場エアコンつけっ放しで100km/kgくらいです。ガソリン車は、80~100km/hでの高速道路走行の方が燃費がいいのですが、FCVは、60km/hの一般道の方が燃費が良かったりします。不思議です。

画像出典:大野一郎

次はトヨタが今後どうするのか(EV or FCV)という小谷さんの取材による動画です:

 

 

動画出典:トヨタ自動車、youtube

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