ヴァージンギャラクティカ社の宇宙旅客機ホワイトナイト2が、2014年10月31日試験飛行中にアメリカモハベ砂漠に墜落しました:
動画出典:youtube
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結局、6年遅れで計画が軌道に乗ったような感じですが、2021年創業者が宇宙に行けたのは墜落事故の原因を突き止めたからです。
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試験飛行中簿記から切り離されたWKイブと呼ばれる滑空帰還機の尾部形状(フェザリング)を変換させるタイミングを誤って空中分解を引き起こしたことが事故原因です。
何故フェザリングをしなければいけないかは次の通り:
画像出典:wikipedia
SS2のフライトパターン。母機WK2から分離(約15km)→ロケットエンジンで上昇→尾翼が回転しフェザリング形状→宇宙での無重力状態(110km)→フェザリングから標準形状へ戻る(21km)→滑空して宇宙港へ帰還
(提供ヴァージン・ギャラクティック)
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空中発射方式のSS2は高度15kmまでにWK2に運んでもらい、分離後WK2の速度を受け継いで、自分のハイブリッドロケットを点火し、最終的にマッハ3.5、秒速1.2kmの速度で高度110kmに達します。もちろんこの速度は高度100kmで地球を周回する人工衛星に必要な速度、秒速7.8kmよりは小さいものです。この方式は高度100kmをわずかに超え、約5分間滞在するのが目的の宇宙船だから可能なわけです。バート・ルターン(機体設計者)はこのようなミッションについて、約15kmからの空中発射は最も安全で効率的な方式だと言っています。
機体姿勢の安定保持技術「フェザリング」です。
これは宇宙から地上の大気を通って帰還する時、尾翼の形状を変化させ空気力学的に安定を保つユニークな方法で、革新的に安全性を確保する技術です。
地球に戻ってくる飛翔体にとって、大気圏再突入飛行は技術的に難度が高く、かつ危険なものです。バート・ルターンは単純な機構で安全性を追求するスケールド・コンポジッツ社の哲学に基づき、フェ-ルセーフの考えを入れ閃いたのが、バトミントンのあの単純なシャトルコックの形状の動きからのヒントだったのです。そして開発されたのが尾翼を可動させて、機体の姿勢とスピードを制御するメカニズム「フェザリング」技術です。
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そしてこのフェザリングを手動で行うのですが、今回の事故は速度マッハ(mach)1.4以下では操作してはいけないところ、担当副操縦士が「マッハ1.0」でやってしまったのです。
そして、機体はフェザリングから2秒後に空中分解し、墜落しました・・・。
こういう設計をしてはいけないのです。「たったひとつの操作ミス」が破壊的な結果をもたらすのです。
これは「ペダル踏み間違い事故」と構造的に非常に似ています。ただし、踏み間違いは、ペダルを踏み換えればそれで済みますが、人間は生理的に踏み換えることはできません。
高度110kmから高度21kmになるまでフェザリングで降下し、そののちは機体形状を戻して滑空するとありますから、フェザリングから通常状態に操作することはできますが、約2秒で空中分解したのではなにもできません。
こういう設計は最悪です。WK2は、何らかの防止措置をとったと考えられますが(その後飛行成功)、ペダル踏み間違いは未だになんらの手も加えられていません・・・。
自動ブレーキとか電子的踏み間違い防止装置もありますが、100%防止できるレベルまで到達していません。
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