ピストンエンジンというのは、みなさんも身近なクルマのエンジンです。クルマにはタービンエンジンが使えません。というより使えないことはないですけど扱いが難しいです。ピストンエンジンには長い歴史があります。そして、ピストンエンジンの燃料であるガソリンは、石油精製過程で出てくるのですが、全部捨てていました。すぐ燃えたり爆発したりするので誠に厄介な代物だったのです。1800年代当時、ランプ(灯り)の燃料は植物油か鯨油でした。そこに石油が灯油として登場したのですが、灯油としてだけに使われていました。そして、1885年にゴッドリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハという技術者は、ガソリンエンジンを搭載したオートバイを開発します。内燃機関の発明です。このおかげで今まで捨てるか燃やしていたガソリンが引っ張りだこになって2017年の今日まで使われている訳です。
少し脱線しますが、アメリカのグリーンピースとかオーストラリアの団体が捕鯨反対を叫んでいますが、モビィディックなどで知られているように、太平洋のクジラをさんざん獲りつくしてきたのはこの人たちです。しかも鯨油だけとって身は全部海に捨てていたのです。どのお口で捕鯨反対を叫んでいるの? あなたたちが食べている牛や豚とクジラとどこが違うのでしょうか?
画像出典:Wikipedia アメリカの捕鯨:セミクジラ、マッコウクジラ
ピストンエンジンは今や「芸術品」といってもいいくらいの完成度があります。今年の始めには、ニッサン自動車が不可能といわれていた可変圧縮比の開発に成功しました!
まず蒸気機関からおさらいしましょう。蒸気機関にもピストン蒸気機関とタービン蒸気機関があります。なお、原子力・火力発電所はタービン蒸気機関です。蒸気機関といえばすぐに思い出すのが、2017年のいまでも時々見かける蒸気機関車です。ものによっては80年前のものなのに今でも走っている!かの日露戦争日本海海戦の連合艦隊旗艦戦艦三笠のメインエンジンは、イギリスヴィッカース社製直立3気筒3連成往複動(レシプロ)蒸気機関です(1万5千馬力)。
画像出典:Wikipedia 記念艦三笠保存会
どちらも水を何かで温めて発生した蒸気の圧力でピストン/タービンを回して回転運動にし、その回転運動で車輪を動かす/発電する仕組みです。
画像出典:Wikipedia ピストン式蒸気機関 概念図
画像出典:Wikipedia 原発の仕組み
ピストンエンジン
大分話が脱線しました。これからが本題です。ピストンエンジンとタービンエンジン。ピストンエンジンの仕組みは、下図のとおりです。空気と気化させた燃料(ガソリン・ディーゼル等)を混ぜてプラグで点火してエンジンシリンダー内で爆発させます。その爆発によって、ピストンを押し下げ、クランクシャフトで回転運動に換えます。
画像出典:Wikipedia 画像はいずれも4気筒ピストン(レシプロ)エンジン
どのタイミングで混合気を爆発させて、排気バルブを開き、ピストンがシリンダー内で一番下にいったとき吸気バルブを開いて混合気を吸い込むというほんとに芸術品のレベルにまで達しています。なにせ上下運動を回転運動(クランクシャフトの働き)に変えて車輪を回すのですから。
タービンエンジン
これと比較してタービンエンジンは、最初から回転運動です。その仕組みは次の通りです。
画像出典:Wikipedia
外気を吸い込んでコンプレッサーの羽を回転させて(上記画像の左側ブルー部分コールドセクション)圧縮し、コンプレッサー最後部にある、コンバッションチャンバー(燃焼室)で燃料(ケロシン=灯油)を吹き付けてプラグの火花で点火させます。その廃棄で上図右側ホットセクションのタービンを回転させ、同軸になっているコンプレッサーを回転させます。この回転でプロペラを回したり、あるいは発電もできるし、ジェット機は排気で推力を得ます。
画像出典:Wikipedia 上段:ターボジェット 下段:ターボプロップ
画像出典:Wikipedia ターボファンエンジン 最前部にプロペラのような大きなファン(風車)がついているのが特徴で、エンジン排気を空気の壁で包むように取り囲むため音が静かです。
ジェットエンジンの始動
ところで旅客機と戦闘機のエンジン始動について、お話しします。
旅客機(ボーイング、エアバスなど):
ほとんどの旅客機には、APU(補助動力エンジン=オグジャリーパワーユニット)という小型のジェットエンジンが装着されており、この小型エンジンをバッテリー(電気)でスタートさせて、圧縮空気を作り出し、メインエンジンをスタートさせます。このAPUは、駐機中に客室内に電気やエアコンを供給させます。

Familientag 27.08.2005 im Airbuswerk Hamburg-Finkenwerder
APU (Auxiliar Power Unit) eines kleinen Airbus
Lizenzstatus: GNU-FDL
画像出典:Wikipedia
戦闘機(F-15など):
JFS(ジェットフュエルスターター)というAPUよりもさらに小型のジェットエンジンです。APUと同じようにバッテリーの力でスタートさせ、メインエンジンに圧縮空気を供給してスタートさせます。
画像出典:Wikipedia
動画出典:youtube ANAのB767-200のようですね。
動画出典:youtube 千歳基地所属のF15です。
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