自動ブレーキ作動せず衝突 全国初の事故 試乗客に「踏むの我慢」と指示
千葉日報2017年04月14日19時00分
運転支援機能を搭載した日産のミニバン「セレナ」を試乗した客にブレーキを踏まないよう指示して事故を起こしたとして、千葉県警交通捜査課と八千代署は14日、八千代市内の日産自動車販売店の店長男性(46)と同店の営業社員男性(28)を業務上過失傷害容疑で、試乗した客のトラック運転手男性(38)を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、千葉地検に書類送検した。運転支援機能を搭載した車両の事故は全国で初めて。
書類送検容疑は、営業社員男性は2016年11月27日午後4時50分ごろ、セレナの試乗に来たトラック運転手男性の助手席に同乗。店舗近くの八千代市大和田新田の市道で、アクセルやブレーキ、車線保持などの運転を支援するクルーズコントロール機能が危険を検知して自動停止すると誤った認識のまま、運転手男性に「本来はここでブレーキですが、踏むのを我慢してください」と指示。男性はブレーキを踏まず、信号待ちしていた乗用車に衝突。乗っていた30代の夫婦に全治2週間のけがを負わせた疑い。
同社ホームページによると、セレナは、高速道路での運転を支援する「同一車線自動運転技術」と危険を察知して自動でブレーキがかかる「エマージェンシーブレーキ」を搭載。交通捜査課によると、本来は車両の単眼カメラで危険を察知して自動ブレーキがかかるが、事故当時は夜間で雨が降っており、追突された車は黒色だった。セレナに故障や異常はなく、同課では「対向車の前照灯など道路環境や天候が重なり、自動ブレーキが作動しないまま追突した」と結論づけた。
3人はいずれも容疑を認めている。営業社員男性は「過去数回、試乗時に運転支援機能のクルーズコントロールを設定していたところ停止したので、試乗時も停止するものと誤認したまま指示した」と話している。営業社員男性は試乗中、クルーズコントロール機能を作動させ「時速40キロの設定速度で進行すると停止車両を検知し自動停止する」と説明していたという。
同課によると、同社のマニュアルでは、夜間・降雨時の試乗、一般道でのクルーズコントロール機能の使用を禁じていた。
同課では「自動運転機能は、運転者の安全運転が前提。あくまでも支援システムで限界がある。運転者が機能を理解すべき。警鐘を鳴らすため立件した」と話している。(原文のママ)
2017年4月14日千葉日報記事より全文転載しました。
典型的な自動ブレーキの事故です。
この記事からは実に様々なことが理解できます。順を追って述べていきたいと思います。
❶事故車両は『日産セレナ』プロパイロット機能(車線保持機能付きレベル2自動運転装置)搭載車両です。
❷事故時はセレナの体験試乗会で購入希望者に運転させ、販売員は助手席で機能説明などを担当していました。
❸『アクセルやブレーキ、車線保持などの運転を支援するクルーズコントロール機能が危険を検知して自動停止すると誤った認識のまま、』
みなさんこの文章おかしいと思いませんか?クルーズコントロール機能は、『危険を察知して自動停止すると誤った認識のまま』??
『誤った認識のまま』??自動ブレーキは『危険を自動で察知して自動で停止する機能ではないですか?』?
❹運転手男性に「本来はここでブレーキですが、踏むのを我慢してください」と指示。男性はブレーキを踏まず、信号待ちしていた先行乗用車に衝突。
大事なところです。つまり車両のセンサーが『誤作動』または『不作動』であることを運転者に知らせる何らの装置もないわけです。しかも自動ブレーキはギリギリでないと効かないようになっているので自動ブレーキ装備自動車搭乗者は、先行車に衝突するまで自動ブレーキ装置の不具合に気が付く手段がないわけです。
「自動運転機能は、運転者の安全運転が前提。あくまでも支援システムで限界がある。運転者が機能を理解すべき。警鐘を鳴らすため立件した」
『運転者が機能を理解すべき』といっても上の状況で運転者が自動装置の不作動や誤作動を認識できるでしょうか?
運転者は自動装置の不具合に気が付く時間的余裕はありません。とすると、この事故はわたしたちに何を示唆しているのでしょうか?
『自動ブレーキの不具合で事故を起こしてもそれは運転者の責任となる』ということです。
それならば、何のための自動ブレーキですか??
画像出典:ニッサン自動車 セレナ プロパイロット
動画出典:youtube ニッサン自動車
アイサイト3に乗っているものです。
この事故はプロパイロットの発展途上の過程の事象かと思います。
アイサイトでは多分起きないのではないかと思います。
アイサイトを始め自動追随システムには2種類のブレーキがあるはずです。
自動追随の前車が減速時に比較的早くからかかるブレーキ(人間の普通にかかるブレーキと同じものが自動で)と危険を察知してかかるエマージェンシィブレーキがあるはずです。アイサイトの場合は対前車と50km/h以下ならどちらもかかるはずです。普通は自動追随でブレーキがかかり、速度差が大きいときにエマージェンシィブレーキがかかります。
自動追随で前車をロックすれば表示が出ますが、表示が出なければ運転手がブレーキをかけるようにしています。この感覚は慣れれば分かります。
プロパイロットは前車をロックしているかの表示が分かりやすいかが問題ですね。
(プロパイロットで試乗した際一般道のため自動追随は試していませんが、同乗の人に聞くと自動追随の際のブレーキがかかっているかの表示は無いと言っていました、不親切なのか、営業員の知識不足か思いました。アイサイトは分かります)
アイサイトはこの度の事故の条件ではまず自動追随のブレーキがかかるはずです。
プロパイロットの条件の整理と改良が必要と考えます。