一昨日、2017年9月6日の本ブログで取り上げた15歳少年の東名高速への投身自殺について考えます。
高速道路への投身自殺は、確実に死ねると考えてのことでしょうが、様々な意味で考えさせられます。もし、走行中に上から人が落ちてきて走行中のあなたのクルマに接触したら、あるいは、横たわっている人を轢いてしまったらどうなるのでしょうか? この少年には、複数のクルマに轢過された痕跡があったそうです。
報道は、まったくこの事件の後追い報道をしません。しかし、高速道路に投身自殺をしたひとを轢過するという大事件に対してこれでよいのでしょうか?
以下は弁護士さんの見解です:
氏名 | 桑原 真理 |
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出身 | 東京都 |
出身大学 | 立教大学法学部卒 |
弁護士登録 | 平成18年10月 |
都内の法律事務所にて勤務し、平成26年11月日本橋桑原法律事務所設立
所属弁護士会 第一東京弁護士会
<1ニライカナイφ ★2017/05/14(日) 11:34:00.49ID:CAP_USER9>>60>>76>>90より抜粋>
2017年4月24日夜、神奈川県綾瀬市の東名高速道路上で、成人男性とみられる遺体が見つかりました。
遺体には車に引きずられたような痕があり、警察がひき逃げ事件として捜査していると報じられました。
報道によると、遺体が発見されたのは、片側4車線ある本線の中央付近でした。
付近を通りかかった車の運転手から「高速道路上に人が倒れている」との通報があったとのことです。
●「過失運転致死罪」になるかが争点であり、運転者不起訴の確率が高いといえます。(桑原弁護士)
まずは運転者に対する刑事罰ですが、一般に問題になるのは、自動車運転死傷処罰法に定められた「過失運転致死罪」に当たるかどうかです。
「過失運転致死罪が成立するには、ドライバーに前方不注視などの過失(注意義務違反)があることが必要となります。
ただし、過失運転致死罪が成立するときでも、検察官が起訴するのは酷だと判断した場合には起訴猶予となります」
桑原弁護士によると、高速道路の場合、ドライバーの過失を問うのは一般道より難しいのではないかとのことです。それは:
補修工事関係者の立ち入りや、事故後の非常措置などの例外を除き、正当な理由なく高速道路に立ち入ることは「高速自動車国道法」で禁止されているからです。
「高速道路は人の立ち入りを予定していないため、人の存在や行動の予測が困難な状況もありえます。
また、前方を注視し人に気付いた時すぐに急ブレーキを踏んでも停止距離の関係で回避できないこともありえます。
そのため、一般道に比べてドライバーの『過失』を問えない事例もあると考えます。 また、過失運転致死罪が成立する場合でも、本来高速道路への人の立ち入りは禁止されており、被害者自身の過失が大きいことから、起訴猶予になったり、起訴された場合でも執行猶予になったりすることが多いと考えられます。
ただし、高速道路であっても、人を轢過したら『救護義務』が発生します。
本件のような、ひき逃げは道路交通法違反となります。過失運転致死罪で起訴するかどうかや、量刑の判断においても不利に働くのではないでしょうか」
※(大野)ということは、東名少年の轢過車両の捜査は行われていると考えられます。被害者の生死に拘わらず、轢過したと認識すれば、車両を停止して「救護措置」を執らなければなりませんが、どうでしょうみなさん。東名高速ならば100km/h前後でビュンビュンクルマが通過しているところのどこに車両を停止させるのですか?しかも、轢過したとすれば、それから停止させても100mは行き過ぎているでしょう。 路肩に停止させたとしても、救護するためには高速道路路肩?を歩いて戻らなければなりません。仮に被害者が走行車線に倒れていたらどうすればいいのでしょう。以下神奈川県警高速隊に以前所属されていた横須賀警察署交通課の警部補にお話を聞きました。
<高速道路上での救護措置について:被害者を轢過してしまったら:❶先ず安全な路側帯にクルマを停止させ、❷119番(高速道路に人が倒れている。救急車の要請をします)119番すれば、自動的に110番されます❸クルマに備え付けられている「発煙筒」を人が倒れている現場付近の路側帯で炊いて後続車に知らせます。同時に路側帯付近に三角板を立てます・・・・・・:以上高速道路での救護措置について2017年9月11日10:30頃電話で元高速隊の警察官に取材しました。
※これで救護措置を執ったと認めていただけます。被害者が倒れているところまで体を張って行き、救護することまでは求められていません。
●仮にドライバーの過失が認められても、大幅な過失相殺 となります
ここまでは刑事責任の話でした。民事的にはドライバーの責任はどう考えられるのでしょうか。
「ドライバーは自分の無過失を証明できない限り、民事上の損害賠償責任を免れることはできません。
ただし、高速道路を歩いていること自体、歩行者の重大な過失として相当大きな過失相殺がなされます」
ちなみに、基本の過失割合はドライバー20、歩行者80とされているそうです。
民事の場合でも、ドライバーの責任の割合はかなり小さいと言えそうです。
画像出典:Wikipedia 東名高速での15歳少年の投身自殺事件(2017年9月5日)投身後複数回の轢過事故
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