波力発電≒潮力発電(海流発電)とは?

31 10月 2016

 岩手県の太平洋沿岸にある漁港に波力発電所が完成しました。漁港の防波堤の外側に発電所を設置して、海中にある波受け板が振り子状に動いて発電します。発電能力は43kWで、2016年11月から陸上に送電を開始する予定です。電力会社の送配電ネットワークに電力を供給できる日本で初めての波力発電所になります。

記事出典: [石田雅也スマートジャパン] 2016年10月26日0700配信
波力発電≒潮力発電≒潮位差発電です。要するに海中の海流を利用して発電タービンを回し、発電します。山形県由良港に実験船『海明』を停泊させ、日本では初めての波力発電実験(船内設備)を実施したのは、父(故大野健一平成22年5月1日没享年87歳)です。通産省外郭団体(現 経済産業省)海洋科学技術センター(現 JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック)の専務理事としての仕事でした。1980年当時、世の中は原子力エネルギー全盛時代で、この波力発電船は、忘れ去られたようになりましたが、36年目に日の目をみました。人々の役に立って親子ともども嬉しいです。

日本初の波力発電所

 日本初の波力発電所が完成した場所は、岩手県の久慈市(くじし)にある「久慈港」の一角にあります。
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画像出典:東京大学 スマートジャパン
この一帯は東日本大震災で津波の被害を受けた地域で、復興プロジェクトの1つとして波力発電の実証に取り組んでいます。久慈港の中にある「玉の脇漁港」の防波堤を利用して、「久慈波力発電所」が2015年10月24日に完成しました。東京大学・生産技術研究所(東京駒場)が開発した波力発電装置を備えています。発電所は海底に設置する基礎部分の上に、建屋を搭載する構造になっており、建屋の中に発電機(タービン)があって、その下に大きな波受け板(ラダー)がぶら下がる構造になっています。全体の大きさは横幅が7メートルで、高さと奥行きは12メートルあります。80トンの重さで海底の岩盤に固定する仕組みとなっています。波受け板の大きさは高さが2メートルで、横幅が4メートルあります。防波堤に水平に設置した波受け板は海からの波を受けて振り子状に回転し、さらに防波堤から戻ってくる波も受けて回転力を高める構造です。発電能力は43kW(キロワット)あります。
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画像出典:東京大学 スマートジャパン
波の強さは季節や天候によって変動するため、平均で10kW程度の出力を想定しています。年間の発電量は約9万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用量(3600kWh)に換算すると25世帯分に相当します。最大の課題は発電コストを低減することにあります。現状では1kWhの電力を作るコストが60円程度と高く、発電装置の軽量化などを通じてコストを引き下げていく必要があります。国の目標は波力発電を含む海洋エネルギーのコストを2020年代に20円/kWh以下に抑えることです。(以上スマートジャパン記事より出典)

波力発電装置『海明』の実験 大野健一他

文献J-GLOBAL ID:201002094407045650  整理番号:80A0296017

波力発電装置“海明”の実験(第2報)—総合設計計算書

著者:大野健一 (海洋科技セ海洋利用技術部)、益田善雄 (海洋科技セ海洋利用技術部)、甲い源太郎 (海洋科技セ海洋利用技術部)・・・
資料名:海洋科学技術センター試験研究報告 号:5 ページ:109-124
発行年:1980年

そして波力発電を使って水素製造へ

度々申し上げていることは、現在わが国の基幹エネルギーは、石油であり、全輸入量の80%を中東から輸入しています。そして、中東はイランとサウジアラビアが国交断絶したりイラクではISISの問題があり、シリアでは内戦が勃発しています。その真ん中にイスラエルがあり、一触即発状態継続しています。現在わが国には約90日分(2015年度実績から)の石油備蓄しかありません。上の記事を見ると、発電電力を直接消費地に供給することを考慮しているようですが、わたしに言わせればそれは違うと思います。そう、この電力を使って水素生産をするのです。すぐにも水から電気分解で水素生産ができるとは思いませんが、少なくともこの日々涸れることのない再生可能エネルギー『波力』を使った発電で水素を造り、貯蔵してわが国の基幹エネルギーにしなければなりません。波力発電を使って水素を造れるようになれば、日本とって素晴らしい光になります。明日は父の月命日です。父は愛国者でした。父の喜ぶ顔が見えるようです。
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画像出典:Wikipedia

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