液化水素 その造り方

07 10月 2021

水素 H² 常温では気体です。1910年頃は飛行船に使われていました。水素は地球上で最も軽い、無色無臭の気体です。宇宙にもっとも多く存在する基本元素で、地球上では水や炭化水素等の化合物の状態で存在します。

画像出典:ENEOS

ガソリン1L(約750g)と同じエネルギーを得るために必要な水素は1m3(約90g)です。水素は気体のためガソリンに比べて体積が大きくなりますが、圧縮することで体積を小さくして貯蔵、輸送することが可能です。

水素 天然ガス LPG ガソリン 空気
重さ(相対値) 1 8 22 50 15
拡散速度(相対値) 100 25 20 8
燃焼範囲(空気中濃度) 4%-75% 5%-15% 2%-10% 1%-7%
自然発火温度 570℃ 580℃ 450℃ 300℃
毒性 なし なし ややあり あり

表出典:ENEOS

さて、これから本題に入ります:

水素は非常に軽いガスなので、製造後に温度・1気圧の状態でそのまま保管するには非常に大きなスペースが必要で効率的ではありません。そこで、水素を貯蔵する方法としては以下の4種類が主に使われています。

  • 高圧で圧縮して貯蔵
  • 低温で液化して貯蔵
  • 金属などに吸蔵・吸着させて貯蔵
  • 他の物質に変換して貯蔵

今日はこの中で「低温で液化して貯蔵」に焦点を絞ってと思います(以下岩谷産業の牧野明次会長兼CEO 2020/02/22 8:00 ):

水素はマイナス253℃で冷やすと液体になり、体積が800分の1まで小さくなって貯蔵や輸送がしやすくなりますが、そこまでの温度に冷やすのには「莫大な電気代」がかかってしまうことから商用化は難しいと言われていました。

岩谷産業の牧野明次会長兼CEO
私は1988年に、ユニオンカーバイドというアメリカの老舗化学会社に1年ほど在籍した経験があるのですが、そこで学んだ低コストで水素をつくる方法を応用しました。液化窒素でマイナス196℃まで冷やし、そこから液化するマイナス253℃までを電気で冷やすという方法を開発したのです。電気代を大幅に抑え、液化水素の製造コストを下げることに成功しました。
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凄いことですね。こういう血のにじむような努力が実を結ぶのですね。
さらに、
JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ)

世界初の褐炭水素プロジェクト、施設の運転開始

(オーストラリア) 2021年03月15日

オーストラリアの大手エネルギー会社AGLエナジーと、川崎重工業、電源開発、岩谷産業(大野註:液体水素の作り方は、多分牧野会長のマイナス196℃まで液体窒素で冷やし、256℃までは電気で冷やす方法か?)、丸紅、住友商事が参画する水素エネルギーサプライチェーン(HESC)プロジェクトは3月12日、ビクトリア(VIC)州に建設した褐炭ガス化・水素精製設備と水素液化・積荷基地が運転を開始したことに伴い、同設備を公開した。

HESCプロジェクトは、VIC州ラトロブバレーで産出される褐炭から水素を製造し、同州ヘイスティングス港で液化・積荷して、日本の神戸にある液化水素荷役実証ターミナルへ輸送する、世界初の実証事業だ(2018年4月24日記事参照)。日本政府だけでなく、連邦政府およびVIC州政府も支援する同プロジェクトは、2050年までにオーストラリアで8,000人以上の雇用を創出し、年間110億オーストラリア・ドル(約9,350億円、豪ドル、1豪ドル=約85円)以上の国内総生産(GDP)を生み出す可能性があるとして大きな期待が寄せられている。

今後は、褐炭ガス化・水素精製設備と水素液化・積荷基地の機能・性能確認を行った後、両施設を連携した運転試験を実施する予定だという。また、2021年中には、日本からヘイスティングス港に液化水素運搬船が来港し、輸送試験を実施する計画となっている。

エネルギー・排出削減担当相のアンガス・テイラー氏は、「HESCプロジェクトは、オーストラリアが世界の水素産業の発展において重要な役割を果たしていることを示す好例だ」と述べた。また、「同プロジェクトの進展は、低排出技術の利用によって二酸化炭素(CO2)排出量を削減するという連邦政府のアプローチが機能していることを示している」として、自信を見せた。

(住裕美)

画像出典:JETRO 因みに満足なLNG船さえ作ることのできないK国(貯蔵タンクはフランスGTT社から)は、歯ぎしりするばかりでしょうな~。

この中の褐炭ガス化は次の通り:

褐炭ガス化によるCO2フリー水素の製造

電源開発株式会社

褐炭は水分を多く含む若い石炭であり、輸送効率が悪いことから炭鉱付近での発電などに利用方法が限られている。現在はCO2排出による温暖化問題が顕在化しており、豪州においてもCO2問題に対応した褐炭の利用用途の拡大が喫緊の課題となっている。
このような状況の中、当社は褐炭の利用に着目し、石炭ガス化技術を適用した褐炭からの水素製造の研究開発に取り組んでいる。将来的には、CO2分離回収技術を組み合わせたCO2フリー水素の製造を目指す。
褐炭のガス化については褐炭がガス化に適しているのかという課題と、多く含む水分をいかに効率的に乾燥させるかという課題がある。これらの課題に対して、当社はNEDO及び豪州政府からの補助を受けて、水素サプライチェーンプロジェクトに参画している。その中で当社は褐炭ガス化から水素製造までを担当し、褐炭の分析や事前ガス化試験を通じて、豪州に設置するガス化炉の設計を実施し、豪州にガス化炉を設置する予定である。そのガス化炉を用いて褐炭ガス化反応の特性を評価する予定である。また褐炭の乾燥技術についても調査を実施しており、水素製造ブラントに適した効率的な乾燥技術について検討している。
これらの研究開発を通じて将来は水素製造設備の大型化も検討している。水素製造プロセスにおけるCO2は将来的には分離・回収をする予定であり、炭鉱の近くにある貯留サイトと連携して取り組んでいる。水素製造設備大型化の実現により、低コストでCO2フリーな水素を製造することが可能となり、豪州及び日本の水素社会形成に貢献することができる。

動画出典:youtube

液体にして貯蔵する場合は、-253℃まで水素を冷却したあと、魔法瓶と同じように真空エリアを挟んだ二重構造の容器に入れて保管します。これは、真空エリアが外部との熱の伝達を遮断し、液化水素の温度が上がることを防ぐためです。とはいえ、完全な真空ではなく、また振動などによっても熱が生じるため、一定量の水素は温度上昇で気化するので、気化した水素ガスを安全に取り除く技術や、より真空に近づけ気化量を減らす研究開発が進められています。

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小泉すんづろう君、太陽光パネルじゃないんだよ。

 

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