九州大学での博士号取得の要件
わたしは九州大学で『ペダル踏み間違い事故』防止の研究をしており、この研究の成果をもって博士号の取得を目指しています。博士号取得といっても、九州大学大学院の博士後期課程に入学し必要単位を全て取得して、さらに査読付き論文4本と学術雑誌への投稿1本が要求されています。論文全部を英文で書かなければならない国際学会への論文投稿では、論文2本と学術雑誌への投稿(日本文)1本が要求されています。わたしは2015年8月に国際学会へ論文1本を投稿し無事発表を済ませましたので、残るところあと論文1本です。
ただし論文というのはオリジナリティが最重要視されます。小保方さんが早稲田の博士号を取り消されたのは『コピペ(コピー アンド ペースト)』して人の論文を盗作したからです。そして同じネタでは論文を書くことができません。2015年の論文では『踏み間違い事故防止』のために『手動スロットル』をネタとして論文を書きました。だから次の論文では『左足ブレーキ』が論文のネタになります。
科学論文とは?
わたしが挑戦している論文は、科学論文といわれ、『踏み間違い事故防止』のための自分なりの『仮説』を立脚し、それが正しいかどうか実験によって検証する必要があります。実験は国際的に認められた方法で実施されます。全ては実験によって事実を確認できるかどうかです。しかしみなさん踏み間違い事故防止のために作った左足ブレーキや手動スロットルが事故防止に効果があると主張してもそれを実験で確かめる術がないのです。いまのところ。
何故なら次の項目をお読みください。
踏み間違い事故の暴走を実験で再現することは可能でしょうか?
その昔わたしも『踏み間違い事故』というのは『咄嗟』のときあるいは『緊急』のときに発現すると思っていたときがありました。そのため自動車学校で使用されている教習車を2台購入し、1台にはナルセペダルを装着し従来型ペダルとの比較『暴走』実験を行いました。この教習車には自分で考案したある特殊な装置が装着してありました。それは、コンビニの平面駐車場に駐車するという場面を想定して運転者に気づかれないように実験者が補助アクセルを吹かすというものでした。しかし、暴走に至った人はひとりもいませんでした。このときの様子は、本HPの論文の項目、九州産業大学の修士論文にまとめてあります。
2017年3月にNHKためしてガッテンから暴走実験をしたいので助けてほしいとの依頼がありましたが、暴走実験は再現不能です。お断りしました。
なお、NHKためしてガッテンでは、2017年4月26日に『大型連休の前に「交通事故から家族を守りたいSP」』として放映されましたが、その中では、高速道路の『催眠現象』、『高速道路の逆走』及び『踏み間違い』について特集を組んでいました。特に『踏み間違い』としては、わたしの恩師である九州大学名誉教授の松永先生の学説として、段差を踏み越えてすぐブレーキが必要な場面で『携帯』の呼び出し音が鳴ると運転手がブレーキとアクセルとどちらを踏むか『躊躇する』場面が見られ13人中4人がペダルを間違えるという実験がありました。この実験車両には、補助ブレーキと運転者の足下カメラが付けられていましたが、結局暴走に至った人は一人もいません。
これは実際の『ペダル踏み間違い事故』とは、その発生において(運転者がびっくりする)と踏み間違った後の暴走との2点において実態と著しく異なった実験といわざるを得ません。事実、韓国での踏み間違い事故のドラレコ画面(ガソリンスタンドの事務所に突っ込む動画)が放映され、実験とは違った実態が示されました。また、何故アクセルを踏みこんで足を離せなくなるのかについては全く示されていません。
この件については、後のBLOGで詳しく取り上げたいと思います。
画像出典:大野一郎 熊本県大津(オオズ)ホンダサーキット駐車場での実験
何故暴走実験再現はできないのでしょうか?
『踏み間違い事故』での『暴走』とはなにか?踏み間違い事故での暴走とは、脳の機能不全状態とそれに伴う足の突っ張り現象です。脳の機能不全状態は、運転者が死の恐怖を感じるほどのストレスから発生します。このストレスが脳の『前頭前野皮質』に作用し機能不全状態を現出するのです。脳の一部でも機能不全状態になれば当然それは脳全体に及びます。運転者は何かに衝突して暴走が終了するまで何も考えることができません。それは例えばペダルをブレーキに踏み換えるとかエンジンを切るとか、ハンドルを操作するとか、パーキングブレーキをかけるとか、凡そなにもできません。あたま真っ白ですから。
さて、脳の機能不全状態を『実験』で再現することは可能でしょうか?
みなさん、人工的にこの脳の機能不全状態を作り出すことは先ず『できません』。
ということは暴走実験を行うことはちょっと無理だと思います。
踏み間違い事故直近の走行状態について
この統計が全てを物語っています。『踏み間違い事故』は実になんでもない状況から発生しています。この統計によれば96%はそのような状況下で発生しています!
ペダル踏み間違い ✖ → ペダル踏み換え忘れ 〇
つまり、踏み間違い事故となる最初のアクセル踏みこみは咄嗟のときや緊急時ではないところで発生しています。結果的には確かにペダルの踏み間違いなのですが、わたしはこれをむしろ『ペダル踏み換え忘れ事故』と呼んだほうがより事実に近いと思っています。
ペダル踏み間違い暴走実験は、再現不能です!
人間(運転者)が『死の恐怖』を感じると陥ってしまう『脳の機能不全』。これは再現実験不能です。また、アクセルとブレーキの踏み間違いを再現することは可能ですが、コンピューター走行画面でのアクセル・ブレーキの操作指示を出して行う踏み間違い実験は、現実の踏み間違い(踏み換え忘れ)とはかなりほど遠い環境です。つまりナルセペダルでも左足ブレーキデも手動スロットルでもこのようにわざとミスを誘うような指示を出せば必ず間違います。この事故はブレーキが必要な場面で踏み換えすることなしにアクセルを踏んでしまうことから始まります。だからあまり意味がないと思います。
画像出典:大野一郎 九州看護福祉大学での『踏み間違い』シミュレーター実験より:画面の指示に従ってアクセル・ブレーキを操作し、その操作はロータリーエンコーダーを通じてパソコンに記憶されます。従来型ペダルとナルセペダルとの踏み間違い比較実験でした。2013年8月頃です。
現実の踏み間違い(踏み換え忘れ)は、コンビニ駐車場に駐車するときなどブレーキを操作しなければならない、本当に何でもない状況でブレーキを踏むべき状況でアクセルを踏んでしまうことから始まっています。
それでは、どうしたら防止できるのでしょうか?
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