水素の貯蔵法(液化水素の続き)

09 10月 2021

液化水素の作り方投稿の続きです。水素の貯蔵法。水素の貯蔵をするには次の4つの方法があります:

  • ➀高圧で圧縮して貯蔵
  • ➁低温で液化して貯蔵
  • ➂金属などに吸蔵・吸着させて貯蔵
  • ④他の物質に変換して貯蔵

LH²(液化水素)では、マイナス253℃まで冷却する必要がありました。そのためには莫大な電気エネルギーが必要でした。液体水素を作るために莫大な電気を消費するのでは、本末転倒です。この部分、岩谷産業の牧野会長兼社長(2021年10月現在)がアメリカのユニオンカーバイトで学習した技術を転化し、《液体窒素》でマイナス196℃まで冷やしてから後、さらに残り3割のマイナス253℃まで冷やすという方法です。この方法で液体水素をつくることができれば、輸送や貯蔵をすることができます。

動画出典:youtube

一方、上記④の方法では、千代田加工という会社が常温で水素を液化する方法を開発しました。正確には液化ではなく化学的にトルエンと水素を結合させて液体化し、後でさらに化学的に取り出すというものです。

  1. トルエンに水素を反応させてメチルシクロヘキサン(MCH)に転換し、このMCHの状態で水素を貯蔵・輸送します。トルエン、MCHともに常温・常圧で液体状態です。MCHは、修正液の溶剤など身近なところで使用される、化学物質としてのリスクが低い化学品です。このMCHを用いるOCH法によれば、水素ガスを約1/500の容積の常温・常圧の液体として貯めて、運ぶことが可能です。
  2. 水素の輸送先、すなわち水素利用地で、触媒を用いる脱水素反応によりMCHから水素を分離して、需要家に供給します。脱水素反応で得られるトルエンは再びMCH生成の原料として利用します。千代田は、MCHの脱水素触媒の開発に成功し、それを用いて実用化を目指した技術実証を行いました。千代田は、この水素を貯蔵・輸送するためのMCHをSPERA水素と商標登録しました。

画像出典:wikipedia 千代田加工

常温で液化できるということと、体積比で水素ガスの約1/500にできるというところが素晴らしいですね。因みにマイナス253℃に冷却した場合、体積比で1/800ですから液化水素の製造や貯蔵、及び輸送にかかる設備費を考えるとコスパが良いです。

一番望ましいのは、再生可能エネルギーから得られる電気を使用して水を電気分解し水素を得る方法ですが、太陽光や風力を使用するエネルギーは、天候に左右されるので安定しないという欠点があります。これに比較して波力発電(潮位差発電)や地熱発電は、安定しているといえます。

世の中はヒステリックにカーボンニュートラルとか騒いでいて、水素を使えば脱炭素といっています。確かにそうですけど、ワタシの考えはちょっと違います。

「地球は温暖化に向かっていません」というのがワタシの考え方であり、水素を国の基幹エネルギーにしたいのはあくまで「国の安全保障」の問題です!

何回も御登場願いますが、キャノングローバル研究所の杉山先生以下お願いします:

動画出典:youtube

それにしても、菅首相は、勉強不足ではなかったでしょうか??

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