自動ブレーキはペダル踏み間違い(踏み換え忘れ)には効果がありません!

03 11月 2017

今更ですが世の中への啓蒙のために筆を執ります。

というのは、以前お伝えした2015年12月に発生した埼玉県の稲垣聖菜さんのペダル踏み間違い(踏み換え忘れ)事故です。この事故では当時15歳の稲垣聖菜さんが亡くなり、当時80歳男性運転者が2年6月の実刑判決を受けて交通刑務所に2017年11月現在収監されています。出てきたときは、83歳です。被害者も加害者も悲しい。

そして稲垣聖菜さんのお母さんは、高齢運転者がこの事故の原因であるとして「高齢者免許返納」のキャンペーンを実施されています。

最愛の娘を喪った母の気持ちが突き刺さります。でもお母さん、踏み間違い(踏み換え忘れ)事故は違うんです! 高齢が原因ではありません!

稲垣聖菜さんお母さんのHPを紹介します:

事故の経緯

そしてこの中に2.2 高い安全評価の車種なのになぜ…という項目があります。事故車両はニッサンノートです。お母さんのHPから転載します:

 

高い安全評価の車種なのになぜ…

加害者の車は、日産のノートで高い安全評価を得ている車です。人や車を感知し警告し停止する安全装置が装備されていたにもかかわらず、なぜ、停車しなかったのか現在、再捜査中です。

お母さん、自動ブレーキはペダル踏み間違い(踏み換え忘れ)事故には効果がないんです。お母さんがそのようなことを知る筈もありませんが、問題は「警察」です。再捜査中とありますが、警察は忙しいですから先ず、やっていません。

何故自動ブレーキが「効果がない」かといえば:

障害物検知センサーに問題があります。機械ですから必ず誤作動、誤認識があります。センサーに誤作動、誤認識があったら、その際は人間が運転を取って代わらなければなりません。人間が運転を取って代わるとは、ハンドル、アクセル、ブレーキなどの主要な運転装置を動かすことです。つまり:自動ブレーキは人間が運転したら即時に解除されます。

踏み間違い(踏み換え忘れ)の場合、運転者はブレーキを操作するべきところで誤ってアクセルを操作します。すなわち、クルマは人間がアクセル操作をしたため運転を取って代わったと認識し、自動ブレーキは解除となります。

警察はこのようなことを何故勉強しないのでしょうか?

それは、簡単です。警察は交通事故の原因調査をしているのではなく、責任の度合いを決める「犯罪捜査」をしているにすぎないからです。

そこで疑問に思うのは、ニッサンを始め他の自動車メーカーはどのように自動ブレーキを宣伝しているのでしょうか? あるいは、ペダル踏み間違い(踏み換え忘れ)防止装置を宣伝しているのでしょうか? :

 

動画出典:Youtube ニッサン自動車 「やっちゃえ ニッサン」のセリフで有名なロック歌手の矢沢永吉さんです。全車種に自動ブレーキを装備することを宣伝していますが、どうです? ニッサン! どんなときに効果があって、どんな時には効果がないか言わないのは拙くないですか?

それでニッサンの公式自動ブレーキに対する公式機能説明です。

今回のマイナーチェンジ(2013年12月25日)では、前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性が高いと判断した際は、緊急ブレーキを作動させて衝突回避を支援する(大野註:衝突被害軽減?)「エマージェンシーブレーキ」を装備するグレードを、SおよびS DIG-Sを除く全グレードに“エマージェンシーブレーキ パッケージ”として用意。エマージェンシーブレーキ パッケージには、フロントソナーとバックソナーにより障害物と自車との距離を検知し、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて強く踏み込んだ際などに自動的にエンジン出力やブレーキを制御し衝突を防止する「踏み間違い衝突防止アシスト」(大野註:でもこの装置が作動するのは車体が停止しているかあるいは時速6~8km以下のときですよね! 時速6~8kmって何で検知するのですか? みなさんご存じのようにクルマの速度メーターは低速域ではほとんど信頼性がないです)をオプション設定しました。

とまれ、自動ブレーキというのは、運転者がなにもしないときに効果があります。

 

動画出典:Youtube ニッサン自動車 コマーシャルとは本当にいい加減なものです。いかにも全自動で日産車が走れるみたいではないですか?

「技術のニッサン」って、出荷時の最終検査をまともにやってくださいよぉ。自動ブレーキとかその先の話じゃないですかぁ?

最もニッサンは日本企業ですが、フランスルノーの子会社(日本法人)です。ルノーの大株主はフランス政府、そしてルノーは、日産自動車の株を約43.4%程度所有しています。つまりニッサンは、純然たるルノーの子会社です。

 

コメント

  1. そうなんですね。ブログを書いた後に、同じ車種の同じ型のレンタカーを借りて、現場と同じ状況で、交通事故調査をしてもらいました。その際、車に入っていた、説明書を見るとあらゆる場合において、作動しない、注意書きが、されていました。その中に、踏み替え、ハンドルをきる、など、人の動作によって、解除されるとあって、なんの為の安全装置なのか?憤りを覚えました。安全から補助に変わりましたが、認識としては、踏み替えでも、止まる。という認識が、一般的なんだと思います。
    だからこそ、きちんとした説明と本当の意味での安全を補助する開発を望みます。とても、わかりやすく、書いて頂きありがとうございます。シェアさせてください。

    • 大野一郎 より:

      稲垣智恵美さま
      ご返信をいただきまして本当にありがとうございます。お嬢様を踏み間違い事故によって亡くされたこと心よりのご哀悼を申し上げます。わたしは踏み間違い事故防止を研究している研究者ですが、同時に踏み間違いを完全に防止することができる「左足ブレーキ装置」を開発し社会普及を目指しています。先に池袋でも同様の中高速からの「踏み間違い事故」が発生し、若い母子が亡くなる痛ましい事故が発生しました。87歳の運転者でした。クルマは包丁と同じ凶器です。あまりにも便利なために社会は、そのことに目をつぶっています。わたしはAT車特有のこの事故は、メーカーの責任であると思っています。しかし、全世界で何千万台も生産され、いまも生産され続けているAT車のペダル配置の欠陥問題となったら、リコールの嵐でメーカーは倒産を免れないでしょう。そのことを非常に怖れています。そのためにムリにムリを重ねて自動ブレーキや加速抑制装置を世に出し、いかにも効果があるように言い続けています。わたしは敢えてメーカーとことを構えるつもりはありませんが、わたしの開発した装置を社会に出したいと考えています。わたしは、今年で65歳になります。死ぬ前になにか人の役に立つことをしたいというのが望みです。「踏み間違い事故」を完全に防止するためにどうかあなたさまのお力添えをお願いいたします。

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