【フランクフルトモーターショー2017】アウディ、2台の完全自動運転車を初公開予定

15 9月 2017

レベル4(定義は下表を参照)の完全自動運転だそうです。へ―!

自動運転のキモは、センサーです。ご承知の通り、センサーとは世界中で「ミリ波レーダー」、「赤外線レーザー」、「ソナー(音波)」及び「単眼、複眼カメラ」です。それぞれ長所短所があり、各メーカーはこれらセンサー類を単独あるいは組み合わせて障害物検知に使用しています。

これらセンサーの最大の弱点は、何といっても「誤作動」や「誤認識」が発生することです。それも結構な頻度で発生します。それでは「誤作動」「誤認識」が発生したときにどうすればよいのでしょうか?

レベル3までの自動運転では、「運転者」すなわちあなたが運転をとって代わらなければなりません。

参考までに内閣府による「自動運転の定義」です。

自動運転レベル及びそれを実現する自動走行システム・運転支援システムの定義

自動運転レベル 概要    注(責任の所在等) 左記を実現するシステム
レベル1 加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態 ドライバー責任 安全運転支援システム
レベル2 加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態 ドライバー責任※監視義務及びいつでも安全運転できる態勢 準自動走行システム 自動走行システム
レベル3 加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態 システム責任(自動走行モード中) ※特定の交通環境下での自動走行(自動走行モード)※監視義務なし(自動走行モード:システム要請前)
レベル4 加速・操舵・制動を全てドライバーが行い、ドライバーが全く関与しない状態 システム責任 ※全ての行程での自動走行 完全自動走行システム

出典:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム研究開発計画(内閣府)

レベル3の下線部、「システムが要請したときはドライバーが対応する状態」とあります。このことには果たして運転者が制御を取り戻すまでどのくらいの「時間的余裕」があるのかということがあります。

さらにレベル4を実現するためには、センサーの不具合(システムからの要請)に対して

ここまで復習したところでアウディの自動運転です。

アウディは2017年9月8日、ドイツで9月12日に開幕するフランクフルトモーターショー2017において、2台の自動運転コンセプトカーを初公開すると発表しました。

2台のコンセプトカーのうちの1台が、「レベル4」の高度自動運転車。『e-tronスポーツパックコンセプト』がベースで、全長4900mmのSUVクーペ。パワートレインはEVで、3個のモーターがトータル出力503hpを引き出し、4輪を駆動するシステムになっています。

自動運転技術に関しては、自動運転制御ユニットの「zFAS」の次世代版を搭載。130km/hを上限に、ドライバーの運転タスクを引き継ぎ、自動で車線変更を行う「ハイウェイパイロット」も採用します。

もう1台のコンセプトカーが、「レベル5」の完全自動運転車。長距離走行を想定したDセグメントに属するフルサイズのEVとなる。4個のモーターを搭載し、1回の充電での航続は700~800kmと長い。レベル5では、ドライバーは運転タスクを完全に車両に任せる。このコンセプトカーでは、ドライバーは運転操作を行わないため、アウディによると、コネクテッド、コミュニケーション、操作性の面で多くの新機能を盛り込むということです。

画像出典:Wikipedia アウデイ

画像出典:Wikipedia アウディ どうか小さいですが、側面前方ドアを見てください。「AI」と書いてあります。いくらモーターショウとはいえAIは完成されていませんし、また、仮に完成されていてもクルマのように人間を乗せて走るものには、AI機能が間違いなく作動し、不具合発生の確率を10マイナス9乗以上で証明しなければなりません。

レベル5?? 内閣府の「自動運転の定義」では、レベル4までです。日本は遅れているのでしょうか? 次はWikipediaから転載するレベル5の定義です。ただし、定義の出典は米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA National Highway) となっていますが、内閣府ではレベル5の定義は未だされていないようです。ちなみにレベル4及び5を解りやすくいうと、「電車に乗るのと同じ」ことです。そしてレベル4は高速道路だけに限定するとかの限定事項がつきますが、レベル5はいわばどこでも走れるということになります。以下Wikipediaのレベル5解説です:

レベル5(完全自動運転)無人運転。考え得る全ての状況下及び、極限環境での運転をシステムに任せる状態です。ドライバーの乗車も、ドライバーの操作のオーバーライドも必要ありません。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムに委ねます。多くの自動車メーカーやその他の企業が、レベル5相当の自動運転車の市販に向けて開発を行っています。日本政府はレベル5の完全自動運転を2025年を目途に目指すとしています。一方、アメリカでは、カリフォルニア州でレベル4の自動運転車を規制する法案がカリフォルニア州運輸局から提出されましたがその後、より上位の行政機関である、アメリカ全土の交通規制を管理するアメリカ運輸省は、「自動運転の人工知能はドライバー」であるとレベル4を容認する見解をしめしました。

※(大野意見)「自動運転の人工知能はドライバー」ですということですが、それでは、「自動化装置」の意味がないのではありませんか?つまり「自動化」の本来の意味は:

1.人間のワークロードを減らして労働量を減らす

2.間違いの多い人間から間違いのない機械による運転を実現する

1.については、確かにシステムが交代を要請するまで人間は休むことができますが、しかし、例えば運転装置に背を向けて、同乗者と対談していたり、あるいは睡眠中(これもありです)、突然機械に不具合があったとき、人間が制御を取って代わるというのは、レベル3の話であってレベル4の話ではありません。大体睡眠中、いきなりたたき起こされて、さぁ運転しろといってすぐにできるでしょうか?

2.機械はめったに故障しませんが、しかし、必ず故障するのです。システムに不具合があると、誰が判断し、誰が代替え手段を執るのでしょうか?

すなわち、完全自動化システムには、「人工知能」が必須です。アメリカのNHTSAはが言うような「人間が人工知能」だという見解は詭弁もいいとこ、自動化システムへの原則を無視しています。その意味ではレベル4を規制しようとしたカリフォルニア州行政当局は完全に正解です。しかし、アメリカ運輸省は、多分テスラ(カリフォルニア州の電気自動車製造メーカー)からの政治的圧力を受けたとしか考えられません。

しかし、アメリカ運輸省は、多分テスラ(カリフォルニア州の電気自動車製造メーカー)からの政治的圧力を受けたとしか考えられません。「人間が人工知能だ」という見解は実はレベル3のことを言っているに過ぎません。

 

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